人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

近代哲学の諸流派 フランスのモラリスト2/パスカル

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。本日は割と遅い時間まで働いておりましたが、疲れるどころか、むしろ頭はさえる一方です。働くってやっぱり楽しいですね。

さて本題に入りましょう。前回はフランスのモラリスト、モンテーニュを取り上げて、彼の思想について3つのキーワードを中心に見ていきました。まだ見ていない方は以下のリンクから飛んでみましょう。


前回も予告していたとおり、今回はブレーズ・パスカルを取り上げてみたいと思います。彼パスカルはヘクトパスカルやミリパスカルという気圧の単位から知られる通り、科学者でもありました。同時に哲学者でもあり、宗教思想家的な発言も残しており、数学者でもありました。つまりパスカルは何でもできる人、ルネサンス的人物の素養をたっぷりもった人だということができるでしょう。そんなパスカルの人物について少し見てみましょう。

パスカルという人

パスカルはモラリストとして知られていますが、フランスの数学者、物理学者、哲学者としての力も発揮しております。幼少時から数学や物理学に才能を発揮しました。20代から30代までキリスト教の活動に大きく影響をうけ、宗教思想家として活動していた節があります。主著『パンセ』はパスカルの哲学的な断片です。39歳の若さで亡くなりました。

パスカルは人間を悲惨さと偉大さという二つの矛盾した二面性を持つ中間者である、と説きました。人間は考える葦であるという発言はパンセの中にあるものなんですが、この言葉の真意は人間は誰もが不完全かつ弱い部分を持つ、ということです。不完全と完全の間の中間者、強い者と弱い者の間の中間者としての人間をここでは言っています。

今回は中間者、繊細の精神、『パンセ』という三つのキーワードからパンセの思想の中身を見ていきましょう。

中間者

上でも少し見ましたが、中間者とは、人間は偉大さと悲惨さ、無限と虚無の二面性をもっていて、その間を揺れ動く存在だということです。パスカルは二面性を揺れ動く存在である人間が、その二面性を気づかせるものがキリスト教の信仰であると考えました。二面性の気づき、中間者として生きることこそイエス=キリストによる救済だとパスカルは指摘します。

繊細の精神

繊細の精神とは、パスカルの作った言葉で、揺れ動く繊細な心の動きを直感する精神のこと。心情の論理というものが想定されており、この繊細の精神は心情の論理によって構成されます。

一方、デカルトなどが重視する理性の論理に従って推論や論証を行う精神のことをパスカルは幾何学的精神と呼びました。パスカルは人間の実生活においては繊細な精神こそ大事なものだと考えました。

『パンセ』

『パンセ』はパスカルの主著として知られる著作ですが、実際は死後にパスカルの友人がパスカルの言葉を寄せ集めて発刊されたものです。パンセとはフランス語で思考という意味です。信仰に還る大事さを記した本で現代でも我々の思索に影響を与え続ける名著です。

パスカルのまとめ

数学者や物理学者であったパスカルはキリスト教の信仰の重要性を擁護しました。モラリストの代表的論者としても知られており、デカルトの理性一辺倒な哲学を嫌いました。おいおい、理性だけじゃなくて心情も考慮せよ、人間なんだから。彼のメッセージを一言でいえばこうです。

パスカルのパンセはどこから入ったらいいの?っていうのがネックですが、一つ一つはとてもわかりやすい思考です。一度、手に取って読んでみてくださいね。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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