人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

哲学とはなにか—哲学的省察

 
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どうもこんばんは、高橋聡です。今日は哲学の意味について考えていきたいと思います。さっそく本文を始めます。

哲学にはいろいろな意味があります。ひとつがカテゴライズの技術とでもいうべきものです。それは分類の技法と言い換えてもよいでしょう。物事を抽象化し、あるいは共通点を見つけて多くの事物間の同じ点と違う点を振り分ける力が分類の技法です。具体物からパターンを抽出することは、さまざまな事物の関係をみるのにとても役立ちます。
カテゴライズの技術の具体例を挙げてみましょう。動物はさまざまな分類ができます。哺乳類という区分を見ると、生物の新生胎から幼体まで、母乳を摂取して生きる生物が哺乳類です。このカテゴリーに含まれる動物は、脳の容積が大きいことが特徴です。しかし馬と豚、人間がそれぞれ全く違う形をしているように、各動物の間の差異が大きいのも事実です。しかし共通点や特徴をつなげていって関係性を把握することが人間にはできます。これがカテゴライズの技術の一例です。

このように分類をして、カテゴライズする力を人間はもっています。もちろん、それはただ分類するためにだけあるわけではありません。分類すると同時に共通点を探り、グループ化することで、たとえば特徴が際立って見えてきます。デカルトのいう分割と同じことで、対照群を小さくすることで目立つものが見えてくるわけです。そうした分類の後に見つけた特徴をフィードバックすることで、他の分類との差異を意識することができるようになります。

こうした科学にも通じる抽象化と具体化、あるいはカテゴライズと再統合プロセスは、哲学という知の営みの最初の特徴なのです。思考のフレームワークというべきこの抽象化と具体化のプロセスは、原理を明らかにするために行われたのです。原理とは民族や文化、宗教やその他の習慣などが全く異なる人々の間でも理解できることばで説明したものなのです。言い換えれば、神やその他の超越的な力の説明に頼らない世界や人間存在の説明を求められて誕生したのが哲学だったのです。

ソクラテスはこの哲学を人生をよりよいものにするための思考法へと昇華しました。徳と知や行動との関係を考察して、感情を制御して、人間としてよく生きるとは何かを徹底的に考えました。近代哲学においてはカントがよりよい人間になるための哲学を考え出しました。カントは真善美と人間の理性との関わり合いを論じて、人間とは何かを徹底的に考え抜きました。人生を真剣に生きる倫理の大切さを説いた哲学はこうして生まれました。

僕自身はやはり人生を真剣に生きることを真正面から考える哲学に惹かれます。世界認識の大事さももちろんわかるんですが、結局のところ人間が自由のうちに行動すること、責任を持って人生を生きるか、あるいはそうした倫理的な問題の大事さについて考えることがぼくは好きです。自分を見つめて、自らのふるまいについて精査することが哲学の大きな仕事だとぼくは少なくとも感じています。

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