人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

空回りせずに最適な解決策を考え、実行する観点|『学習する組織』の話をしようか3

2023/04/08
 
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どうもこんばんは、高橋聡です。昼間はかなり暖かく、上着を着ていると暑いくらいになってきました。

ところが夜は寒いくらいのときもあり、気温が安定しない春まっさかりです。

体調には気をつけていきましょうね。

今回の範囲

今回読むのは第1章です。

『学習する組織』第1章のタイトルは「われに支点を与えよ。さらば片手で世界を動かさん」です。

今回はここについてみてきましょう。

視点の変更

私たちは小さい子供のときから、大きい問題を分割したり、世界を断片化させることで問題の対処しようとしてきました。

もちろんその観点もとても大事で、問題が取り扱いやすくなったりするので悪くないです。

しかしデメリットとして組織間のつながりなどがわからなくなります。

言い換えれば、微視的視点からすれば巨視的なことが、見えないようになってしまう、ということです。

つながりがわからなくなったりするとこれはデメリットでしょう。

のちに説明する5つのディシプリンを身につけてみたら、どうでしょうか。

分割や断片化でとらえると視野が狭すぎるところがありますが、今回『学習する組織』でとりあげられている5つの原則を身につけることで、全体やシステムを意識して考えることができます。

つまり各要素間のつながりを正確に把握して、とるべき行動を考えることができるということです。

すべての世界が相互につながっていて世界が創られていることを認識できれば、組織内のあらゆるレベルでの各人や各チームが自律的に決意し、学習する能力を引き出すことができる組織に近づきます。

つまり学習する組織に近づいていくのです。これは卓越した組織である、といえます。

学習する組織なんて、本当につくれるのか?という疑問もあるかと思います。

しかし、我々は生まれたときから学習者であり、同時に学習がとても大好きなのです。だから学習する組織をつくることはできる、とセンゲはいいます。

学習する組織の5つのディシプリン

ここでは学習する組織の5つのいわば要素技術を説明しています。

一つ一つどれも大切で欠かせないものですが、一つでも取り入れれば組織は善くなっていくでしょう。

①システム思考

パターン全体を明らかにして全体を効果的に帰る方法を見つけるための概念的枠組みです。

センゲの調査によると、子供には元来こういう思考法がそなわっているとのことです。

簡単にいえば、全体の相互関係に着目して物事を考えよう、ということです。

仏教で言う無分別智という考え方と近いようにわたしは思います。

②自己マスタリー

自己マスタリーを持つ人は、芸術家が作品に取り組むがごとくに人生に向き合うといいます。

自分自身の障害を通じた学習に身を投じるのです。

自己マスタリーは継続的に自分自身の個人ビジョンを明確にし、深めること、エネルギーを集中させること、忍耐力を身につけること、現実を客観的にみることなどが含まれます。

菩提心、空、空観などの考え方がこれに近いと感じました。

③メンタルモデル

メンタルモデルとは、世界をどう理解し、自分がどのように行動するかに影響を与える前提や一般概念です。

よく使われる用語でいうパラダイムという考え方が近いのではないでしょうか。

④共有ビジョン

共有ビジョンとは組織全体で深く共有されている目標や価値観、使命をいいます。

組織のメンバーが向くべき方向を示す旗印のようなもので、組織に根強く定着するほどメンバーの一体感はまします。

⑤チーム学習

チーム学習はダイアログで始まります。

ダイアログとは対話のことで、人の考え方を知るために行う話し合いの場です。

ディスカッションなどとは違い、勝ち負けの次元からは脱しており、ダイアログは協力や相互協調のための話し合いです。

もうひとつチーム学習に大事なのが、前提を保留にして共に考える能力です。

これはダイアログとも通じますが、リーダーが決めたからやる、というのではなく、チーム成員がそれぞれ納得感をもって決めた、ということとも関わってきます。

チーム学習とは①~④までのディシプリンを個人だけでなく、チームで発揮する方法なのです。

センゲはこれら5つのディシプリンが『学習する組織』に必要だと指摘します。

これが第1章に対する僕なりの理解です。

高橋聡の第1章についての理解

一度本書を一通り読んだぼくが感じるには、この第1章は本当に大事なことがつまっています。

『学習する組織』をすすめようとする個人やチーム、組織にとって、そのビジョンというべきものがこの5つのディシプリンです。

『学習する組織』を読むとき、方向性がわからなくなったら常に見返すべきはここ第1章です。

この箇所はどのディシプリンとつながっているだろうか、どのディシプリンを発揮すればこの箇所に書いてあることが実践できるか、など考えながら読めば本書の理解は間違いなく深まります。

だから本書を読んで迷えば、この5つのディシプリンのことを念頭において、それでも迷えば第1章を読み直して考えることが、システム思考を身につける道となることでしょう。

以上、今回は『学習する組織』第1章の大事な部分と自分なりの雑感をこの記事にまとめました。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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