『学習する組織』のタイトルについて|『学習する組織』の話をしようか1
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哲学エヴァンジェリスト。
東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
釣鐘じっくり読書会への参加
どうもこんばんは、高橋聡です。ブログ更新も久々となってしまいました。
最近読書会を主催したり、参加したりして資料作りに追われている毎日です。
ぼくが参加している読書会の一つに、釣鐘じっくり読書会というものがあります。
この釣り鐘じっくり読書会は、月に2回、課題本の1章か2章をじっくり深く読もうという変わった読書会です。
最近だと速読などがはやっている節がありますから、はやくたくさんの本を読むのが良い風潮ですから、はやりから外れていることはほぼ間違いないでしょう。
しかしこの読書会、ぼくにはとてもよい読書会でして、毎回新たな発見がつきないのです。
1回目の課題本は野中郁次郎先生らの『ワイズカンパニー』、
2回目の課題本はピーター・センゲの『学習する組織』を読みました。
3回目はアメリカのプラグマティストで教育学者のデューイの著作『経験と教育』を読む予定です。
よかったら一緒に読みましょう。
今回はその2回目の課題本、センゲの『学習する組織』のお話を少ししようと思います。
『学習する組織』の初版刊行年と英字タイトル
『学習する組織』は組織論の名著として有名です。
世にいうシステム思考という考え方を提示した名著だと思います。
このセンゲの著作は、実に1990年に初版が発刊されました。
前年にベルリンの壁が壊れて、東西ドイツが合併してドイツとなったのが1990年ですね。
その翌年にはソ連が崩壊しました。
それくらいの時期にこの『学習する組織』の英語版原著が刊行されています。
英語のタイトルは、”The Fifth Discipline;the Art and Practice of the Learning Organization”といいます。
日本語に訳すと、『5つの原則ー-学習する組織の構築と実践』というような意味でしょう。
学習する組織を構築するには各組織を構成する人々に5つのディシプリン、原則といったものが備わっていればうまくいくというものですね。
だからこの5つの原則を大事にして、学習する組織を構築しましょうというのがセンゲの意図したメッセージなんだと思います。
改訂第二版は英語版が2006年、日本語訳が2011年に刊行されています。
1990年代に較べてかなり環境問題を真剣に考えるようになってきており、そうした環境問題を考える土壌を醸成するうえで『学習する組織』が大いなる貢献をしています。
日本で『学習する組織』が大きく取り上げられたのは、ここ10年近くかな、と勝手に感じています。
ところがアメリカでは本書は1990年代にすでに大きな影響力をもっており、本書の最も大事なディシプリンである「システム思考」を企業でも実践して使われてきたという話は聞いたことがあります。
スティーブ・ジョブズもおそらく本書から影響を受けています。
点と点をつないだときに線となり、線と線をつないだときに面となってイノベーティブなことが起こせるというスタンフォード大学の卒業式でのジョブズの講演は有名です。
それはまぎれもなくシステム思考的に要素をつなぎ合わせて相互連関を考える、というものです。ビジネスのシステム構築において、ジョブズほどのひとはなかなかいないでしょう。
日本において、ビジネスのエコシステムを作るという発想ができなかったのがアメリカと日本の経済発展の違いの要因の一つではないでしょうか。
だからこそ今からでも学ぶべきことが『学習する組織』にはたくさん書いてあります。
日本には「学習」することに抵抗のある社会人が非常に多いといいます。
学校教育での上から下への知識押しつけではなく、よりよいものを築くための学習をしていくためにも、本書でたくさんのことを学びましょう。
以上、『学習する組織』というタイトルについて考えてきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。