人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

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ニヒリズム|哲学の用語解説

2021/04/05
 
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どうもこんばんは、高橋聡です。1ヶ月ほど更新を放置していましたが、ぼちぼち再開していきたいと思っております。前回まではイマヌエル・カントの用語を中心に解説してきましたので、そのカントの哲学用語のまとめも書いていきたいと思っています。それはさておき、4月に入って新入生、新入社員が入ってくるような慌ただしい時期ですね。でも今年は結構桜が残っていましたので、とても外の景色もよく入学式など迎えることができたのではないでしょうか。ちなみに岸和田はだんじり祭りをやることが決定したそうです。

ニーチェの哲学用語のイメージ

ニーチェの哲学用語といって、あなたは思い浮かぶことばがあるでしょうか。超人、永劫回帰、ニヒリズム、力への意志、神は死んだ、などさまざまなことばが有名ですけど、全部の意味を知っている方って案外少ないんじゃないでしょうか。ニーチェの用いる用語や概念の意味はもちろんそれぞれ違います。でもぼくはここでこうしたそれぞれ違うニーチェの概念について、伝えておきたいことがあります。それはどの概念もニーチェ哲学を知れば知るほど、人生を生きる上での元気をもらえる考え方となっている、という点です。”今を全力で生きる”という仏教のメタメッセージとも似た、ニーチェの世界や人生に対する考え方がわかるようになった途端、後ろ向きな考え方が前向きな考え方へ、ネガティブがポジティブへと転換するのです。
そういった意味で、ニーチェの哲学はまさしく生き方を変える哲学、それも自分が気づいて実践した時のみに可能な主体性が重視される哲学となっているのです。

ニヒリズム

さて本題に入りましょう。今日の用語はニヒリズムということばです。ニヒリズムとは、ニーチェ思想の核となる重要概念の一つです。ニヒリズムとは、伝統的な価値観や権威を全て否定して、破壊しようとする思想のことをさします。語源はラテン語で無を意味するnihil(ニヒル)で、日本語では虚無主義と訳されることもあります。ニヒリズムとは別の言葉で言えば、生きる意味や目的を喪失した状態であるとも言えるでしょう。

デカダンス

ニヒリズムを哲学者として初めて取り上げたのはニーチェです。ニーチェは19世紀におけるキリスト教の権威の失墜を「神の死」と呼びました。その神の死に伴う2000年間、ヨーロッパに存在してきた伝統的価値観や道徳感が崩壊して、ヨーロッパはデカダンス(退廃)に陥ってるとニーチェは説いたのです。ニーチェによれば、キリスト教はあの世という彼岸に価値を置いていたため、その影響を引き継いだヨーロッパ近代主義も悲願という現実には存在しないを基盤に置いていたため、神の死はいわば当然の帰結だったのです。

受動的ニヒリズム

そしてニーチェはデカダンスから、人は生きる目的がなくても生きざるを得ない状態、つまりニヒリズムの時代が到来したのだ、と指摘したのです。こうしたニヒリズムをニーチェは受動的ニヒリズムと呼びました。人間の主体性がかやの外に置かれ、ニヒリズムが人間にただ降りかかってきて、受動的にそのような状態に置かれているだけだからです。

能動的ニヒリズム

ニーチェは既存の価値や道徳は無価値であることを現実として受け入れつつも、力への意志を発揮して新たな価値を創造する生き方こそが徹底的なニヒリズムだと説きました。徹底したニヒリズムは、能動的ニヒリズムと呼ぶこともある概念で、ニーチェの哲学において特に大事な言葉です。能動的に、つまり自分がしっかりと考えた上でニヒリズムの現実を直視した上で、創造的とは何かを自分なりに考えて実行できる態度が大事だとニーチェはいうのです。そして能動的ニヒリズムは全てを積極的に肯定する態度ともなります。

ニヒリズム講評

ニーチェは伝統的な価値観が崩壊するのは必然だと考えていました。だから(受動的)ニヒリズムも来るべき人間の思想として否定はしません。ただニヒリズムが現れたらそれから逃げるのではなく、中途半端にイヤイヤながら生きるような態度ではなくて、ニヒリズムを徹底して世界の無意味性、無価値性に完全に納得して、その無意味性の中でどのように生きるのか、そのことが一番大事なんだ、という生き方こそこの時代に必要な生き方だよ、とニーチェは言いたかったのだと思います。
だからニーチェの能動的ニヒリズムを身につけた人の態度は、清々しくどこか吹っ切れた、でも熱いハートをもった生き方なのです。
以上、本日はニヒリズムについて考えてきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋聡記す

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