人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

色不異空空不異色を考える|Facebookコメント

2021/10/13
 
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A色不異空B空不異色

A物質的現象というのは、実体がないということと何ら変わりがない

B不変の実体がないということは、物質的現象と何ら変わりがない

色不異空を考えるーコスモスのたとえ

例えば美しい花、コスモスの花が目の前に咲いているとしましょう。ここでなぜAのように言えるのか考えていきましょう。

Aをコスモスで言い換えると、コスモスという現象は実体がない、ということと何ら変わりがない。

時間軸でみると、コスモスというものは、種子がつくられ、その種子が風にのって土の上に移動し、種子から土へと根を張ります。根を張ったコスモスは茎を伸ばし、葉を大きくしてそしてようやく花を咲かせます。そうしてまた花粉を風や虫を伝って伝えます。そしてその花粉を受粉しためしべがまた、種子を作ります。

コスモスはこの循環の環を繰り返しています。白いきれいな花を咲かせるのは、この循環のほんのひとときです。白いコスモスの花というのは、この循環のひとときの現れ、つまり現象にほかなりません。

そしてこの循環の中の一時の現象ということに着目すれば、実体がないということも理解できるのではないでしょうか。花はほんの数週間で枯れてしまいます。それにもかかわらず、コスモスの生物としての循環は何も終わりません。こう考えると、コスモスの花というのは本当にいっときの現象であり、不変の実体などないことがよくわかります。

今見ているコスモスの花と1秒後にみているコスモスの花も厳密には異なってきます。やはり不変の実体はありません。

また原子の集合体としてのコスモスを考えてみましょう。コスモスというのは、いろんな原子が組み合わさって今のコスモスの花の形をしているということができます。生物の基本単位である細胞の特徴は常に動いていることです。原子も当然動き続けます。

こう考えると、今この瞬間見ているおなじに見えるコスモスさえ、原子の配置は常に変化しているわけです。これは一見不思議に感じるかもしれませんが、これが自然の法則というものです。

いま一瞬の現象としてのコスモスはこのように、全く同じ不変の実体などありません。だからこそ現象と実体がないことは何ら変わりません。

空不異色を考えるー人間の成長

Bはどうでしょう。

不変の実体がないことは、物質的現象と何ら変わらない。

人間は成長し続けます。新生児から幼児へ、幼児から子供へ、子供から大人へ、大人から老人へと。こう考えると、アイデンティティとよばれる不変と思われるものでさえ、刻一刻と変化していることがわかります。子供の時と全く同じ音楽が好きな大人はまずいないでしょう。人間には不変の実体などありません。そして不変の実体がない人間である自分にせよ、周りの人間にせよ、物質的現象にほかなりません。

いきなり消滅したり、いきなり現れたりするのではなく、物理法則に則った形でしかわれわれは存在しません。つまりここそが現象ということです。

それゆえBもまた、正しいといえるでしょう。

AとBは現代の論理学的にいえば、トートロジーといって、同語反復で意味がないと言われることがあります。でも古代インドの人たちが考えたように、順番をひっくり返して考えてどちらも説明できると、より説得力が強くなります。

同様に五蘊不異空。空不異五蘊なのです!

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