菩提樹の下でお釈迦様が悟った真理とは?
2017/08/15
どうも、哲学エヴァンジェリスト高橋聡です。お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開いたという話を聞いたことのある人は多いでしょうが、どういう真理を悟ったのでしょうか。
仏教では特に縁起説というものを悟ったと言われています。縁起説のすべてを言葉で説明することはできませんが、さりとてそのエッセンスは言葉で説明できます。
縁起説
(写真は大阪府和泉市西福寺)
縁起とは、物事には必ず何かの原因があるもので、それ単独では起こらないということを意味します。これ自体は簡単な思想に見えますが、実は因果律を否定するので大変奥深い思想なんです。
どういうことでしょう。科学的な考えでは因果はある原因があり、ある結果が生じるという発生の関係を指します。例えば台風によって家が破壊されたとしましょう。これは単純に台風があるから、家が破壊されたと言えるだろうという人が多いと思います。ですが、これだけでは何ら真理をみたことにならないのです。
どういうことでしょう。結局、台風が起こって日本に来るには、海水温や気温、気圧や風の流れがすべて整っていて起こることです。逆に言えば、それら無数の原因が揃ってはじめて、台風が日本に来て家が壊されたのです。無数の原因があり、原因が認識できないとき、偶然とわれわれは受け取ります。
でも科学的な因果の考えでは偶然として認識できないことも仏教では縁起としてつながっているのだ、と指摘します。
縁起についてある仏教解説書は次のように解説します。
縁起とは、一つの存在には直接・間接に無数の原因があって、万物はお互いに網の目のようにつながっている、ということなのです。
『法華経のこころ 日蓮聖人のこころ』 勝呂信静
結局この考えを推し進めると次のように言えます。すべてのものはお互いに依存しあって存在している。同様に、あなたの人生も他人の人生とお互いに依存しあって存在している。だからこそ、お互いに協力し、感謝し合わないといけないのです。
縁起の道理は、ものを部分的に見るのではなく、全体的に見ることです。また、縁起の道理は、ものを固定的に見るのではなく、発展的に見ることです。諸行無常の考えと特に関係が深い教えだといってもいいでしょう。
縁起説のまとめ
偶然はない、すべては必然である。しかも、その必然のものごとはすべてつながっている。だから、お互いに関係し依存しあっているのだから、それぞれの存在を大事にしないといけない。これだけではありふれた教えですが、今度一切皆苦の思想と組み合わされることで、世の苦しみをなくす道をお釈迦様は発見することになったのでした。