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社会学について8〜機能主義の系譜1・パーソンズの社会学

2018/02/19
 
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どうも哲学エヴァンジェリスト高橋 聡です。今回は機能主義と構造主義の関連とパーソンズという偉大な社会学者について述べたいと思います。

機能主義と構造主義

機能主義(functionalism)は社会を機能的にとらえる認識上の立場です。この立場では、部分が他の部分や全体にどう貢献しているかについてその関係を説明しようとします。その貢献的な作用を正機能(順機能)とい、逆貢献的な作用を逆機能と呼びます。機能主義は、社会を相互関係的に有機的な関係としているという点において、ルーツはジンメルの関係主義的方法論やスエンサーなどの社会有機体説にたどり着きます。

構造主義(structuralism)は社会を構造的にとらえる認識上の立場です。この立場では、全体的な構造や規則性から諸現象を説明しようとします。社会現象ばかりではなく、文化、言語、人の精神などの諸現象を構成する要素を明らかにして、それらの要素間における普遍的な関係性をモデル化して一般化しようとします。特に数学や言語の規則性との類似性から人間が無自覚に従っている規則性のあるモデルやパターンを見つけ、その構造から人々の行動や思想を説明しようとして、目の前にある現象の裏にある「見えない構造」を明らかにしようとする傾向があります。

ところで機能と構造は部分と全体との関係性をどうとらえるかによって結びついています。機能とついになって登場するのが全体を示す構造という概念で、機能主義はパーソンズによって構造・機能主義(structural-functionalism)として定義されることになります。

機能主義のルーツ

この機能主義のルーツはダーウィンが生物の諸器官の持つ環境適応機能を強調したことにさかのぼるといいます。この進化論的発想は、プラグマティックな機能主義的心理学として受け入れられました。デューイは機能という概念を固定的な刺激ー反応という閉ざされた関係ではなく、生体の目的達成(という全体目標)との関係でとらえました。

この発想は様々な分野に影響を及ぼしました。とりわけ、マリノフスキーやラドクリフ=ブラウンの機能主義的文化人類学の発展に貢献しました。彼らは社会の各部分の行為が全体社会の維持に貢献している機能に着目しました。

マリノフスキーはトロブリアンド諸島におけるクラという交換の儀式によって、離島の人々が結び付けられ、返礼の義務のような社会関係が作りだされ、歌や芸術などの文化が生み出されたと考えました。これはクラという儀式が社会を安定させる機能を果たしているといえます。またラドクリフ=ブラウンはアンダマン諸島における特定の儀礼が社会全体の維持に貢献していると説明しました

未会社化には法律のような目に見える制度はないですが、儀式や習俗が紛争を回避し秩序を維持する法律と等価の機能を果たしていることを発見したのです。

レヴィ=ストロースの構造主義

これに対して、レヴィ=ストロースの提示する構造概念は自然と文化(社会)の間にある分節点としての仮説モデルであり、マリノフスキーらの機能主義とは区別されます。

レヴィ=ストロースは近親相姦の禁止(インセストタブー)という現象が、ほとんどの社会において普遍的に見られることについての大きな仮説モデルを立てました。

「未開社会では交換が重要だ」というマルセル・モースの贈与論などに立脚し、結婚できない女性と結婚できる女性の区別は、交換に差し出す女性(姉妹などの近親者)と交換によって獲得する女性(妻)だと考えました。ここで結婚できないということは、性交渉をタブーとすることであり、相姦禁忌(インセストタブー)と呼ばれます。

レヴィ=ストロースはそのことで姉妹と妻を区別する意味上の違いが生じ、親族という概念が生じたと考えました。そして、この親族の誕生が、人間社会に特有な最初ん現象だとして、自然と文化の境目になっているとも考えました。

レヴィ=ストロースは言語やインセストタブーのような共通の枠組みに社会性を求めています。

パーソンズの構造・機能主義は個人の行為や社会関係の延長上に構造を見るのに対して、レヴィ=ストロースの構造主義は個人の行為や社会関係の前提として大きな社会構造を見ます。

パーソンズの社会学

タルコット・パーソンズは社会学の行為論にとどまらず、心理学や文化人類学、システム理論などを統合して社会を行為システムとする一般理論を構築しようとしました。パーソンズの生きた時代はファシズム的社会主義の台頭や石油スキャンダルなどの政治的混乱があって、政治権力に秩序問題を任せられないと判断されました。このような時代背景もあり、パーソンズはシステムという概念を使って社会の秩序を説明しようとしました。

主意主義的行為理論

パーソンズはウェーバーの行為論とデュルケムの集合意識を統合しようと試みました。ウェーバーは人間は主体的な意図に基づいて行動するという方法論的個人主義の立場に立ち、デュルケムは人間は社会的な規範などに寄生されて行動するという方法論的集団主義の立場に立ちましたが、パーソンズは両者を一つにしようと試みました。

ウェーバーは目的合理的行為の類型化によって、人間が主体的な意図をもって行動するという近代社会に典型的な個人の存在に焦点を当てました。また官僚制の分析でも、このような個人の主体的で合理的なあり方が近代社会を形成したという認識を示しました。

これに対してデュルケムは、近代社会を別の面から見ました。デュルケムの社会的事実と集合表象という概念は、社会が外在して個人を内面から拘束しているという認識に基づいていて、個人は社会によって規制されていると考えました。

パーソンズのアイデアは単純化すれば、人間は何らかの目的に最もふさわしい手段を選んで努力する合理的な存在ですが、その手段の選択基準は規範だといいます。

これは個人の主体的な行為を出発点にしているので主意主義的行為理論と呼ばれます。その行為とは、規範(社会的価値)が内面化された上で個人がとる主体的な行為であるところに特徴があります。つまり、パーソンズの理論は規範に影響されているという点でデュルケム的で、個人の主体的行為を基礎とする点でウェーバー的なのです。

この主意主義的行為理論における行為理論の基本(単位行為)は「目的」と「状況」と「規則」の関係として理解することができます第一に「目的」とは、行為者にとって「望ましい未来の事態」です。第二に「状況」とは、行為者にとって「コントロールできる状況」と「コントロールできない状況」に分けられて、前者が手段、後者が条件と言われます。第三に「規範」とは、目的が実現できる最も適切な手段を選ぶ基準のことです

つまり行為理論の基本(単位行為)は、行為者が未来の望ましい事態を想定しながら、特定の条件のもと、その実現に必要な最も適切な手段を、何らかの規範に基づいて選択することです。

その際、目的はより大きな上位の目的の手段となります。そしてその目的の上にさらに上位の目的が考えられます。この目的と手段の連鎖はサブシステムが上位システムにつながるというサイバネティックス的な発想とも共通します。この上位目標に向かって階段を登っていく発想に基づいて、パーソンズは最終的な究極的目的である秩序問題と対峙します。パーソンズは秩序のルールは効率(合理性)の準則とは異なる道徳的規範でなければならないと考えました。それが後述するパターン変数に結びつきます。パターン変数とは道徳的規範、または価値の基準です。

構造・機能分析

パーソンズはラドクリフ=ブラウンらの文化人類学的機能主義を一般化しようと試みました。文化人類学では特定の儀式や習俗がその社会を成立するために機能しているとみていますが、それはすべての社会に適用されるものではありませんでした。これをパーソンズは発展させて、どの社会にもある相互作用のパターンに応用して、一般化できるモデルを作ろうとしました。

このため、パーソンズは社会の中で比較的変化しにくいもの(関数で定数化できるもの)を「構造」として、変化しやすく構造の維持存続に対して果たしている作用(関数でいう変数)を「機能」と考えました。そこでさまざまな社会現象を「変化しやすいもの」と「変化しづらいもの」に分けて、前者の後者への貢献度によって説明しようと考えました。このような立場に立つことを構造・機能主義と呼び、このような分析の枠組みを構造・機能分析と言います。

その際パーソンズは、行為者を社会的な構造に結びつけるものとして「役割」概念を導入しました。これにより制度的構造(役割の体系)を描き出し、ついで行為者の動機付けに関わる変数を構造(役割体系)との関係で分析しようとしました。

パーソンズは役割を構造化する分析手法として、次に述べるパターン変数を用意しました。

パターン変数

パーソンズは人々が多くの意思決定を即座にできるのは、何らかの選択基準に照らして、適切な選択しを選んでいるからであると考えました。そして、人々が行動を選択する際に準拠する選択基準を5組の変数に集約しました。

このように行為選択にあたって二者択一的に選択する価値基準の類型のことをパーソンズはパターン変数と呼びました。

第一のパターン変数は、感情を表に出すのか、あるいは冷静さを保つかという「感情性ー感情中立性」です。これは本能や欲求のおもむくままん行動するか、それをコントロールするかという対立と考えてもよいのでず。欲求を抑える場合は、感情中立性に近くなります。

第二は私的な利益を優先するか、公的な利害を選択するかという「自己志向ー集合体志向」です。これは自己中心なのか、周囲や社会のことを先にするかということと考えても良いのです。

第三は、一般化された法律のようなものを優先するのか、個別の事情や関係性を重視するかという「普遍主義ー個別主義」です。これは原則を重視するかケースバイケースを重視するかの違いと考えても良いのです。

第四は、他者を評価する場合において、その他者の業績や成果を重視するのか、(地位や学歴や階級のような)所属で見るのかという「業績本位ー所属本位」です。

第五は、他者の特定の一面に着目するのか、多くの側面を考慮するのかという「限定性ー無限定性」である。

科学的アプローチとはこういうものでもあります。パーソンズは行為の選択基準として人々が最終的に悩むであろうジレンマを、5つのパターンに集約してみせたのです。

これらのパターン変数は、行為の選択基準ですから、規範(社会的価値)の分類でもあります。その関連を整理したのが次の4つのシステム論です。

4つのシステム

パーソンズは先にあげたのようなパターン変数を用いて行為の分析に向かうが、その際に人間の行為を大きな一つの体系ととらえました。そして、パーソンズは行為体系の諸要素は当初三つのシステムに組織化されていると考えました。

第一は個人の動機付けを組織化しているパーソナリティ・システムであり、第二は複数の行為者の相互行為のパターンからなる社会システムであり、第三は規範、価値、シンボルによって構成され、個人の行為に方向づけをする文化システムであります。

このうち社会システムはすべての相互関係にかかわる変数を取り出して連立方程式を解くことは不可能であるから、定数として過程できるものとして構造と、変数としての機能から成ります。また、この社会システムは相互行為の体系として後述する「ダブルコンティンジェンシー」に媒介された秩序問題の対象となる。

さらに、これはパーソンズの着想の先取りですが、文化システムは社会システムの中へ制度化され、パーソナリティ・システムの中に内面化(社会化)されていく。文化システムは規範、価値、シンボルなどによって個人の中にも、社会の中にも根付いていき、最終的には社会を安定(構造化)させるというアイデアです。

その際、パターン変数は相互行為の過程における一定の規則性を関数化するための分析ツールであり、斉一性(繰り返し)をもたらす規範的要素を体系的に分類するための概念図式です。そして、その規範的要素とは、文化システムにおいては規範の型(パターン)、パーソナリティ・システムにおいては欲求性向の型として想定されるのであります。

なお、パーソンズは後期になって、行為の体系に行動有機体システムを加えました。これは生物としての人間の行動をシステムとして見るもので、当初は、生物学の手間として除外していたものです。しかし、後期になると、次の項目で説明するAGIL図式に対応するために、四つ目の体系として付け加えました。

AGIL図式

パーソンズはAGIL図式という四段階図式を掲示しました。

AGILとは、適応、目標達成、統合、潜在性の頭文字でシステムの存続に必要な機能的要件を示しています。

簡略化していえば、社会が恒常的に相互行為を売り返す構造は、AGILの四つの条件が成り立つ時であって、この4条件が成り立たない場合には、社会の構造は変化するか、社会そのものが成立しなくなると説明されています。

秩序問題

秩序問題とは「いかにして秩序は生まれるか」という問いのことです。すでにコントが社会静学として提起した頃から社会学にとって重要なテーマでした。パーソンズはシステムという概念を使って社会を説明しようとしましたが、システムは何らかの統合的なまとまりであり、そこに秩序が存在していることを含意しています。パーソンズはこの秩序問題をホッブズにさかのぼって論じます。

秩序とは良好な関係ばかりいうのではありません。戦争で言えば、政府軍が反政府軍を抑え込んでいる限り秩序は保たれているといえるのです。家族においても、円満な状態ではなくても家族としての形を整えている限り、秩序が保たれているといえます。その意味で、秩序の反対は、ホッブズのいった「万人の万人に対する戦い」の状態です。

したがって秩序問題は、キリスト教の権威を借りずに秩序ある社会を形成するにはどうしたらいいかという問題に挑戦したホッブズの問いを継承しています。その意味で、パーソンズは秩序問題をホッブズ問題と呼びました。

ホッブズ問題

ホッブズ問題とは正式には「ホッブズの秩序問題」といって、人々が個人の利益を優先して自分勝手に功利主義的に行動した場合に、どのようにして秩序が保たれるのかという問題です。

ホッブズの生きた時代は王権神授説が唱えられた時代です。

しかし議会が絶対王政に反対し、ピューリタン革命が起きると社会の秩序を正当化する思想的な根拠が必要となりました。当時の王権神授説は国王の権威は神から授かったものということで、最終的に教会の権威を借りて説明していましたが、ホッブズはキリスト教の権威から独立して秩序問題を解こうとしました。

ホッブズは個人を合理的な存在と感が増したが、その際にその合理性をこう理性に置き換えました。人間は本来利己的なものだという前提に立ち、個人が功利主義的に行動すると「万人の万人に対する戦い」が起きるはずです。ところが、そのような闘争状態が常にあるわけではありません。

ではなぜ社会秩序が維持できるのでしょうか。この問題についてパーソンズによれば、ホッブズ自身はその理由を自然権を主権者に譲渡して社会契約を結ぶからとしています。そしてパーソンズはこれは功利概念の誇大な拡張であり、現実を見ていなと批判しました。

ダブルコンティンジェンシー

パーソンズはこのホッブズ問題をダブルコンティンジェンシーという概念を使って説明しようとしました。これは「二重の条件依存性」と訳されるもので、自分の行為は相手の行為に依存しますが、相手のこういももちろんその相手の行為に依存するという状況をさします。

パーソンズは相手が何を受容し、何を拒否するかということについて、自分と相手が共通の基準を共有していなければ、両者の間に安定的な関係(秩序)は成り立たないと考えました。そこで文化システムの優位性を強調します。二重依存性による不確定性を減じているのは、文化システムが社会システムを構成している共通価値が自己と他者で共有されるからと考えたのです。

文化システムが生み出す規範などの共通価値が個人や社会に浸透して秩序を形成するというロジックがここで誕生しました。

そしてパーソンズの社会学は保守的だと批判を受けるようになりました。

まとめ

機能主義的な考え方を社会学で大成したのはパーソンズです。彼は様々な視点から社会システムについて論じているのでとても面白いですね。

ダブルコンティジェンシーと文化システムの関係は一筋縄ではいきませんが、それでもぼくはすごい説明だと思います。

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