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社会学について15〜社会的交換理論

2018/03/05
 
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どうも哲学エヴァンジェリスト高橋 聡です。今回は社会的交換理論について見ていきましょう。

社会的交換理論

社会的交換というアイデアは、デュルケムの影響を受けた社会人類学者によって始まりました。モースの北米インディアンにおける「ポトラッチ」の研究、マリノフスキーのトロブリアンド諸島における「クラ」の交換の研究、レヴィ=ストロースのオーストラリア先住民における親族研究などがあります。

他方、新古典派経済学や政治学における公共選択理論など、社会的行為を行為者の功利的な利得やコストの計算によって説明しようという合理的選択理論の系譜もあります。

この二つの系譜を結びつけて独自の理論を展開したのがホマンズやブラウ、コールマンです。

ホマンズの交換理論

ホマンズはスキナー箱の実験のような行動主義的心理学を参考に、満足した体験(プラスの報酬)と不快だった体験(マイナスの報酬)から成る命題体系を立て、人間行動の心理的メカニズムと経済学的合理主義を一致させようとしました。

具体的には「報酬を受けることが多ければ多いほど、その報酬を受けた行為が繰り返される(成功命題)」、「その人にとって価値のある行為は繰り返される(価値命題)」など6つの命題に基づいて、報酬の関係で社会的行為を説明しようとしました

しかし成功命題にある学習効果は鳩やネズミの実験で知られている通りで、ブラウらによって批判されました。

ブラウの交換理論

ブラウは鳩の実験を人間に応用したホマンズを批判し、社会過程における創発特性(動物では起こり得ない人間的な創造活動)に着目しました。

ブラウは社会的交換における報酬を外的報酬と内的報酬に分けて考えました。この外的報酬とはインパーソナルでゲゼルシャフト(利益社会)的な交換で、セールスマンが顧客との関係で得られるような経済的な交換関係に典型的に見られます。この場合、報酬は関係を手段として得られるもので、交換の相手は特定の人である必要はありません。

これに対して、内的報酬とはパーソナルでゲマインシャフト(共同社会)的な交換で得られるもので、愛情、尊敬、是認などを想定しました。たとえば愛するもの同士が愛情を感じ合う行為のように、行為自体が報酬であり、特定の他者との間(内部)に報酬が存在するので内的報酬と呼びました。

ブラウは上記のような分析から社会的交換関係は義務感、感謝、信頼などを引き起こすので、交換における互酬的関係が長く維持すると論じました。

コールマンの交換理論

ジェームズ・コールマンはパーデュー大学という理系の大学出身でコールマン・モデルという多変量解析の手法を開発しました。

コールマンは社会的交換を社会的資源の交換として捉え、自分の権利を放棄して他人に移転するときに交換が始まると考えました。そしてこの権利の移転を権威関係に基づく交換関係と、信頼関係に基づく交換関係に分類しました。前者は官僚組織の基礎を成すもので、組織における支配と服従の関係は社会的交換関係の産物です。後者の信頼関係に基づく交換関係とは、市場における交換関係の基礎を成すもので、市場における交換とは支配と服従の関係なしに権利の移転を可能にします。

コールマンはさらに経済学でよく知られている合理的選択理論を交換理論の中に本格的に取り入れました。それはマクロとミクロの不一致やジレンマを合理的に説明しようという試みでした。

合理的選択理論とは行為者の行動選択について功利的な利得、コスト、計算という合理的側面からのようなメカニズムで選択するかという個人的行為の理論とそのようにして選択された諸個人の行動が社会的にどのような結果をもたらすかを検討する集合的帰結の理論があります。

社会学ではミクロ現象をマクロ現象に関係づけようとする試みが繰り返されてきましたが、コールマンは合理的選択理論を積極的に社会現象を応用して、ミクロとマクロの不整合や対立の問題を解こうとしました。

またコールマンは現代社会では形式合理性が生活の中に深く浸透してくることは避けがたいと考えました。これはハーバーマスの「生活世界の植民地化」と呼んだことにつながります。しかしコールマンはこれをネガティブなものとして捉えずに、合理性の浸透が避けられないならば合理性をもって合理性をコントロールしていかなければならないと考えました。

まとめ

合理的選択理論は近代経済学の人間の行動モデルですが、すべての行動に合理性(功利性)をもって説明するのは無理があるとぼくは考えますが、それでも有力な行動モデルの一つでしょう。社会学で功利的人間を想定するのは何か違う感じがしますが、役に立っている部分もあるのでしょう。

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