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ヘドニックな幸福とユーダイモニックな幸福|心理学の用語解説

2020/12/07
 
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どうもこんばんは、高橋聡です。昨日は昔の仕事の知り合いの主催する忘年会に行ってまいりました。今日は久々にBOOKOFFで古本を見てきました。BOOKOFFの古本は玉石混交といった感じで、ちょっと注意深く探さないといけませんが、でもその作業がぼくにとってリラックスできる時間となっているので、最低でも月に1回、多い時は週に1回程度BOOKOFFにはいきます。今あまり書店で見かけないけど、自分にとって興味のある分野の本などを手に入れられるととてもうれしいですね。

前回記事の紹介

さて、前回記事では”幸福”とは何かを考えてまいりました。以下にリンクがあるのでそちらから飛べます。
まだ読んでいない方は是非読んでみてくださいね。幸福って主観的なものですが、生きる上でとても大事な概念だと思うのです。だからどなたにとっても必読です。

ヘドニックな幸福

”主観的な幸せ”に定義はあるのでしょうか。あったとしたら、その定義は本当に正しいものでしょうか。

そうした問いを心理学は常に抱えています。もちろん社会的状況や個人のおかれた環境によっても、幸福をどのように感じるかは常に変動します。そうした中で、幸福を定義づけることはできるでしょうか。

ポジティブ心理学は、そうした問いに十分にこたえてきたとはいいづらい部分があります。

ウェルビーイングに関する現在の主流の理論では、成長や自己実現、意義といった概念が抜けて落ちています。

ウェルビーイングの理論でよく述べられている幸福やウェルビーイングは、最大限の喜び(ポジティブ感情)と最小限の苦痛(ネガティブ感情)について述べたものがほとんどです。こうした快楽主義的なウェルビーイングのとらえ方を、ヘドニックな幸福と呼びましょう。このヘドニックな幸福の考え方は、古代ギリシアの哲学者アリスティッポスにまでさかのぼることができます。

ユーダイモニックな幸福

古代ギリシアの哲学者アリストテレスはユーダイモニアという概念を生み出しました。ユーダイモニアとは真の幸福といったような意味です。アリストテレスによると「真の幸福とは、徳のある人生を生き、価値ある行為をすることによって得られる」とされます。

つまりアリストテレスは徳のある人生、つまり自分の持つ潜在的な可能性を具現化させるような生き方をすることで、価値ある行為を生み出す結果を求めることで、真の幸福が得られるのだ、というのです。こうした幸福のあり方をユーダイモニックな幸福と呼ぶことにしましょう。

セリグマンのPERMA理論

マーティン・セリグマンによると、真の幸せのモデルには5つのモデルがあるといいます。5つの頭文字をとってPERMA理論とも呼ばれます。

PERMAのそれぞれを見ていきましょう。
  • P:Positive emotions/ポジティブ感情を求める生き方・楽しい生き方ともいう。ヘドニックな幸福の形に近い。
  • E:Engagement/強みを生かして没頭した状態になろうとする生き方。
  • R:Relationships/人間関係を求め、他者とつながろうとする生き方。
  • M:Meaningful/有意義な人生、自分の強みを活用し、自分より大きなものに仕える生き方。ユーダイモニックな幸福と関連。
  • A:Accomplishiment/自分自身のために成功と勝利を手に入れる生き方
この真の幸せモデルでは、幸せは5つに集約できることを示してはいますが、ただヘドニックな幸福とユーダイモニックな幸福の二つの分類との関係は明らかではありません。

機能的ウェルビーイングモデル

ビテルショと共同研究者たちは、機能的ウェルビーイングのモデルを提唱しました。

このモデルによると、次のことが言えます。達成を目指す過程の状態がユーダイモニアで、達成を手に入れた状態がヘドニアです。この分類は神経学的メカニズムとも関連しています。ドーパミン系はユーダイモニアを促進し、内因性オピオイド系はヘドニアをサポートします。

ユーダイモニックな幸福の特徴

初期の研究では、ユーダイモニアは教育のレベルが関係していることがわかりました。教育レベルが高いほどユーダイモニックな幸福が得られると結論付けています。さらにユーダイモニックな幸福を多く感じる人の方が、働くことに満足し、トラウマのようなものから回復する力が強いこともわかりました。

ユーダイモニックな人格の重要な特徴として、「責任を取ること」と「試練に立ち向かうこと」の二つが挙げられるといいます。無責任で努力しない人生とはまるで反対の特徴です。

以上、ヘドニックな幸福とユーダイモニックな幸福とについてみてきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋聡しるす

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