人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

力への意志|哲学の用語解説

2021/04/16
 
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どうもこんばんは、高橋聡です。最近すっかり陽気になってきましたね。春は眠いです。仕事も無理しすぎず、がんばりましょう。ではさっそく前回の記事で取り上げた永劫回帰についてみていきましょう。

前回の記事|永劫回帰

前回は永劫回帰を取り上げました。最悪のニヒリズムである永劫回帰ですが、これを肯定的に捉えることができるようになることで、ニヒリズムの克服の道が開かれるようになったのでした。いかにリンクを貼っておきます。まだ読んでいない方は是非読んでみてくださいね。

力への意志という概念

後期ニーチェの最重要概念

力への意志は、後期ニーチェ思想の最重要概念です。力への意志とは、あらゆる生の根本にある新たな価値を創造しようとする意志のことです。ニーチェは生命のエネルギーを力への意志と捉えました。そして世界は無数のエネルギーが拮抗して、かつ生成する場であると考えました。
力への意志は同時に世界解釈原理ともなり、ニーチェはこの解釈によって価値を措定しようとします。人間は力への意志に従って、新たな価値を創造し、ニヒリズムを克服して、価値の転換を図るべきだとニーチェは主張します。

力への意志とは成長志向

力への意志というイメージがつきづらい言葉をニーチェは多用しますが、結局これは現在の言葉に言い換えれば、上昇志向、自己超克の意志、成長欲求、成長志向と行った言葉のイメージが大変近いです。そのような言葉のイメージに付け加えて、子ども時代の遊びのようなものを重視した側面もあります。つまり幼な子のように生成無垢の楽しみをするような価値創造をニーチェは特に重視するのです。力への意志を極限して簡単に言えば、生命は絶えず強くなろうと意志している、ということです。

力への意志講評

自らが強くなり、既存の価値の破壊と新たな価値の創造を行うことができるのは、ニーチェによれば力への意志のおかげなのです。インド神話でいう洪水や嵐の神にして、破壊者と創造者の両側面を持つシヴァ神のイメージが僕の中では勝手に付き纏います。日本の神話でいうところの素戔嗚が近いでしょうか。
絶えず自己を強化して上を目指すことを積極的に肯定するのがニーチェが力への意志を用いる一つの目的なのです。
ヘーゲルが歴史や世界の根本原理として弁証法を措定したように、ニーチェにとっては力への意志こそが弁証法に代わって世界を突き動かす根源的な力だというわけなんです。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。本日は力への意志の解説を行いました。
高橋聡記す

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