心理学

近代心理学の成立|ヴントとジェームズ・アメリカとドイツの近代心理学


どうもこんばんは、高橋聡です。

このブログではここ3回、心理学の歴史についての大まかな流れについてみてきました。大きく4つの時代に分けて、解説をしました。次の4つの時代でしたね。

このうち、近代心理学の成立の時期について今回は見ていきたいと思います。
前回の記事は次のリンクから飛ぶことができます。

心理学前史2|進化論・精神物理学・大脳生理学

心理学成立の直前の時期に生まれ、発達した三つの学問についてみていきました。これら3つの学問は心理学の成立にも大きな影響を与えました。

では今回の内容を見ていきましょう。

近代生理学の成立|ドイツの心理学

1879年、心理学が成立したとされる年に何があったのでしょうか。それはヴントが心理学実験室を開設し、心理学者が心理学をのちの時代に伝えるとともに、心理学的な方法論が確立され、実験と数式に関する心理学的な扱いをどの心理学者が行ってもほぼ同じようなものになりました。つまり一定の訓練を受けた者なら、誰でも心理学者となることができる地盤をヴントは1879年に作ったのです。これは学問の成立と発展において、とても大事なことです。心理学の再生産システムが機能し始めたからです。研究者が新たな研究者を育て、次世代に心理学を受け継ぐことができ、さらに心理学的な問題が設定され、解決されることでブレークスルーが起こり、新たな課題や問題を解決する道しるべができたのです。

ヴントの心理学の特徴といえば、生理学的な実験を心理学で応用して用いる点です。こうした実験を中心とした心理学を実験心理学呼びます。そこでは、内観法を用いた反応時間の研究が実験として行われました。またフェヒナーは感覚を従属関数(*1)としましたが、ヴントは意識を従属関数としました。ヴントは意識を実験の対象としました。このヴントの意識を対象とした心理学は、アメリカからヴントの心理学実験室に留学して帰国した心理学者ティチナーに受け継がれました。ティチナーの心理学は構成主義要素主義的心理学である、とティチナー自身は主張しました。ヴントは実験心理学だけではなく、現在で言う文化人類学的なアプローチをとった民族心理学も重視しました。

ヴントの同時代、ブレンターノという心理学者は組織的な研究を行わなくても、経験的な研究ができると主張しました。ブレンターノの心理学は作用心理学と呼ばれます。心的作用と心的内容の異なる事実に注目し、心が対象に向かう心的作用を志向性と呼びました。
ブレンターノの作用心理学の影響を受けたシュトゥンプは音響心理学を展開しました。シュトゥンプは現象学という概念を考え出しました。現象学とは、自分の見聞きしている世界がただそこに存在しているという自然的態度から純粋な意識・心の内面に立ち返って、その意識に現れる現象を記述する方法のことです。シュトゥンプの弟子に現象学的哲学者フッサールやゲシュタルト心理学者であるウェルトハイマー、コフカー、ケーラーなどがいます。
19世紀のドイツ心理学史で大事な人物に、エビングハウスがいます。無意味綴りを用いた記憶に関する研究で知られ、忘却曲線でも有名です。エビングハウスは「心理学の歴史は長いが歴史は短い」との文章を残しました。

アメリカ心理学の展開

ヴントの影響を受け、アメリカではウィリアム・ジェームズが新しい心理学テキストを12年かけて1890年に『心理学原理』として発刊しました。ジェームズはハーバード大学哲学教授から心理学教授へとなりましたが、ヴントの元で博士号を取得したミュンスターベルクに心理学実験室の管理を任せました。ミュンスターベルクは産業心理学の父としても知られています。

そのハーバード大学で最初に心理学博士号を授与されたのがホールです。ホールはドイツのヴントのライプツィヒ大学に留学しました。アメリカに戻ったホールは米国で最初の心理学実験室を1883年にジョン・ホプキンズ大学に開きました。のちにクラーク大学にうつり、同大学の学長となりました。またホールはアメリカ心理学の初代会長としても活躍しました。

ヴントのもとで最初に心理学博士号をとったのはキャッテルで、キャッテルは米国に戻り1888年にペンシルヴァニア大学に心理学実験室を開設し、のちにコロンビア大学に移りました。

彼らに共通する心理学的特徴は、機能心理学と呼ばれます。機能心理学は進化論に影響をうけ、意識の適応的な機能を明らかにするとを目的としました。

機能心理学には大きくシカゴ学派コロンビア学派があります。シカゴ学派で著名な心理学者はデューイエンジェルで、コロンビア学派にはキャッテルや試行錯誤学習や効果の法則を発見したソーンダイクなどがいます。

以上、今回はドイツとアメリカの心理学者を中心に近代心理学の成立と発展についてみていきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

*1 独立関数が変化すると、従属関数も変化する。独立関数とは実験者が操作することができる関数のこと。従属関数は実験者が直接操作することができない関数のこと。具体例を挙げると、睡眠時間を変化させて、学校の勉強の学習効果が変化するかどうかを測定するとき、実験者が操作できるのは睡眠時間となる。そのため、この測定の場合、睡眠時間が独立関数となり、学習効果が従属変数となる。

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