人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

没落せよ!ニーチェ動画4

2017/07/11
 
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哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
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どうも哲学エヴァンジェリスト高橋聡です。

昨年末、ニーチェ動画を作成しました。ツァラトゥストラを読みながらニーチェの思想から元気をもらおうという試みの一つでした。

いま、ここにその文字バージョンを書こうと思います。

では、さっそくニーチェの世界へあなたをお連れしましょう。

序説4の場面

序説4では、ツァラトゥストラは人間の「没落」についてあらゆる角度から説いています。没落に耐えられる人間の要素を「わたしは愛する・・・」という形で列挙します。ニーチェによると、没落こそ超人への道です。

没落について

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人間は、動物と超人とのあいだに張りわたされた一本の綱である−−深淵の上にかかる綱である。渡ってかなたに進むのも危うく、うしろをふり返るのも危うく、おののいて立ちすくむのも危うい

ニーチェ『ツァラトゥストラ』世界の名著版(以下引用すべて同)

元来、人間は不安定な存在であることがここでは述べられています。とても不安定で危険がいっぱいですが、進んで危険やリスクを取って成長することができます。結局、危険やリスクばかりなんだから、そのことばかり考えずに行動してみろよっていうメッセージにも読み取れます。危険・リスクにへなへなしてるほうが危険なんだから、前を向いて進もうよ!

人間において偉大な点は、かれがひとつの橋であって、目的ではないことだ。人間において愛しうる点は、彼が過渡であり、没落であるということである。

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人間は橋だ!ということですが、結局橋とは過程であり、ゴールではないんです。人間はどこまでも続く橋、過渡、没落の過程なのです。ここでいう没落とは、僕流の解釈ですが、高みにいつまでも止まっているのではなく、低みにあえておりて成長に向かって鍛錬し続けることです。この鍛錬や成長の過程であることを忘れた人間は怠惰でしかありません。

ニーチェの愛する没落する人

わたしは愛する、一滴をもおのれのために留保することなく、全的におのれの徳の精髄になろうとする者を。そういうものが徳の精髄として橋を超えるのだ

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全的におのれの徳の精髄になる、ということは簡単にいうと立ち止まることなく、全身全霊をかけて自分の徳を磨きあげることです。そして自分のとくを 磨き続けたものこそ、橋を超えて超人への道を行くんです。メッセージとしては、とにかく走り続けろ、自分の性質、徳を大事にしてひたすら走り続けろということです。

わたしは愛する、あまりにも多くの徳をもとうとしない者を。一つの徳は二つの徳より、より多くの徳である。なぜなら、一つの徳こそ、より強く宿命の重荷を吊るしうる鉤となるからだ

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複数の徳を同時に磨こうとするよりも、一つの徳をひたすら磨き続けろということです。一点集中することで、徳や性質を磨き上げて宝石にすることができます。一つだけの徳に集中すれば集中するほど、逃げ道を断つことになり、それだけ責任を持って物事に取り組めることをここでは説明しています。

わたしは愛する、おのれを浪費して惜しまぬ心情の所有者を。感謝されることを求めず、返礼をしない者を。そういう者はつねに贈るばかりであって、おのれを保存しようとはしないのだ

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まわりのために、お返しや見返りを求めずに贈り続ける人。自分がたとえ浪費するばかりでも、なお贈り与える無償の愛こそ、大事なものです。これも浪費してしまうことは没落とつながりますね。

わたしは愛する、黄金のことばをおのれの行為に先立てて公言し、そしていつも自分が約束した以上のことを果たす者を。そういう者はおのれの没落を欲するからである

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素晴らしい言葉を自分の行為に先立てて公言し、約束した以上の成果を出す人。有言実行の人を目指せ。約束した以上のことをなす努力をしろ。そうすれば、没落して成長し続けることができるのです。

わたしは愛する、おのれの神を愛するがゆえに鞭打つ者を。そういう者はおのれの神の怒りによって滅ぼされるをえないからだ。

おのれの神とは、自分の芯にある行動軸で信念のこと。自分の信念ゆえに、鞭打つような厳しい態度で鍛え、高めていくことが成長へと繋がるんです。自分が滅ぼされるくらい自分の信念に命をかける人は素晴らしいですよね。

わたしは愛する、人類をおおう暗黒の雲から一滴一滴と落下する重い雨つぶのような者たちを。かれらは雷電の来ることを告知する。そして告知者として滅びるのだ

人間は地上から天を求めます。対して超人はその天から地上へ降り、大地の意義を大事にするんです。雷電の来ることを告知する、の雷電とは超人のこと。つまり、没落する人は超人の前に来る人だということがわかります

まとめ・ここで学べること

  • 没落とは、高みから降りて成長しつづけようともがくこと
  • リスクの回避ばかり考えず、むしろリスクを積極的に取って行動せよ
  • 自分の持つ徳、性質を一点集中で鍛え続けろ有言実行たれ!
  • 約束した以上の成果をもたらす勢いで実行せよ
  • 与え続けろ!見返りなど期待せずひたすら与え続けろ!
  • 自分の芯のある行動軸に準拠し、自分にきびしい態度で挑め!
以上のことが学べます。ぜひ、あなたも一度ニーチェのツァラトゥストラを手に取ってみてください。

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