儒学 東洋哲学

『論語』を読んでいたわかった、古代中国における音楽と文化の関係

どうもこんばんは、高橋聡です。ゴールデンウィーク、みなさんちゃんと休まれたでしょうか。ぼくはしっかりと休み倒しております。さて今回は古代の中国の最も有名なテキストの一つである『論語』のテキスト読解を行なっている大阪潤身読書会(じゅんしんどくしょかい)という大阪の天下茶屋で行われている読書会に顔を出したのがきっかけで気づいたことを書いていきたいと思っております。その前に潤身読書会について少しだけお話しさせていただこうと思います。

潤身読書会について

この読書会をぼくが初めて知ったのは、コクチーズPROというイベントの告知を行うことができるサイトから送られてきたメールのおすすめイベントの項目に載っていたからです。
『論語』を読む読書会は各地にありますが、コロナ禍でやっているところは少ないので、現地に向かって見れるというのは読書イベントを企画しようとしていたぼくにはとても魅力的であったことに加えて、『論語』のテキスト自体には興味はありながらも、真剣に向き合ったことがないのも参加を決めた理由でした。
全体的には、講師である清水さんが論語のある章句の解説を行なってから、そこで気づいた点や感想を参加している人たちが言い合うという形で進められていました。
とてもアットホームな雰囲気で初めての参加のぼくもとても参加しやすかったです。大阪だけではなく、東京と名古屋でも開かれているようですので、興味があれば潤身読書会で検索してみてくださいね。

引っかかった論語の一章句

ぼくは読書会で取り上げられた子罕第九ノ十五という章句がとても気になったのです。いわば孔子の音楽での業績を記した箇所です。音楽好きだった孔子ですが、なぜ音楽と礼、しいては文化がいつも中国史において関連して語られるのかがぼくは腑に落ちていませんでした。なお、ぼくは大学時代東洋史を専攻していて中国史をやっていましたので、このような疑問が浮かぶわけです。

ぼくが感じていた問題

大事なことなので繰り返します。ぼくが感じていた問題は、簡単に言えば音楽と礼や文化が同じように語られる点です。現代日本人からすると、礼儀作法と音楽の関係があまりピンと来なかったというのもありますが、中国史においていろんな政治改革があり、例えば王莽の新の改革や魏武曹操の改革、唐代の諸改革や北宋の新法派、王安石の改革といろんなものがありますが、全て音楽の改革も伴っているんですね。礼や文化が政治に関わるというのはわかるものの、音楽が政治に関わるというのが全く想像できないぼくがそこにはいたのです。

子罕第九ノ十五

そういうことを過去からずっと考えていた自分がいたぼくがこの章句に出会った時、何かつながるような気がしました。まず章句を見てみましょう。

子曰「吾自衞反魯,然後樂正,雅頌各得其所。」

読み下し:子曰く、吾衞より魯に反り、然る後樂正しく、雅頌が各の其所を得たり。
日本語訳:孔子は次のように仰りました。「わたしは衛国から魯国に帰った際、魯国で音楽を正しく整理して、礼で使われるような歌の歌詞も曲もしっかり正したので、音楽が然るべき場所でなされるようになったのだ」

ここで感じたこと

晩年の孔子は音楽や詩を整理する道に走ったとここで孔子の清水さんが指摘されました。政治による改革の道を放棄して音楽や詩の整理に向かうとは現代人からすると道が変わったように見える。
ところが孔子の中では必ずしもそうではなかったのではないか、とぼくは思うのです。音楽にしろ、詩にしろ、これらは文化の一部です。そして礼というのは孔子がもっとも大事だと考えた文化の一部分であります。文化とは、無意識か意識化されたものどちらも含んだその民族の習慣の体系のことです。一方礼とは意識化された習慣の体系です。音楽や詩は文化そのものです。だからこそ、礼と文化の一部である音楽や詩が大事にされるのだと感じたのです。
どういうことか詳しくいうと、音楽の乱れは、風俗の乱れです。風俗の乱れとは文化の乱れであって、文化とは民の生活の実態によって形成されるものです。文化の上に立脚して初めて礼は意味を持つものなんです。つまり文化が乱れていると、当然礼も乱れていることとなります。
だからこそ、政治改革によって文化や礼の乱れを解消しようとした孔子でしたが、晩年の孔子はそれよりもっと根本的な解決策を見つけたと言えるのです。つまり、文化の乱れを正し、礼を正す道です。文化とは五経にあるような占い(易)や詩、礼、文字と歴史、そして音楽から構成されると孔子は考えて、これらの整理に取り掛かるわけです。だから音楽や詩を正すことは乱れた文化や礼を正す道にそのままつながってくるわけなんです。
そう考えると、文化である音楽と礼の中国における関係はよく氷解してきました。だから政治改革の根本にある文化の改革で音楽と礼を変えようとするのは古代中国から続く中国の伝統と言える規範に則った行為なんです。
というふうに、今回は古代中国の音楽と文化や礼との関係についてみてきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋聡記す

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