功利主義１ ベンサム
どうもこんばんは、たかはしさとしです。本日はゆっくりしておりました。休む時間も大事ですね。みなさんも休日はゆっくりしていますか？あわただしく働いていますか？
前回の記事
前回は古典派経済学の祖アダム＝スミスについてみてきました。アダム＝スミスは経済学だけでなく、独自の哲学説も説きましたね。以下、リンクから飛べます。
まだ読んでいない方は是非読んでみてくださいね。
功利主義とは
本日見ていくのは功利主義という考え方です。18世紀後半からイギリスで起こり、現代の英米哲学にも受け継がれる倫理思想であり、政治・社会思想でもあります。人間の行為の善悪の判断を、その行為が快楽や幸福をもたらすかどうかに求めます。言い換えれば、人間の行為が正しいかどうかの基準をその行為の帰結に求める帰結主義の立場をとり、その帰結が人間の幸福に役立つかどうかという性質である功利性を求めます。
ベンサムによれば人間は苦痛を避けて快楽を求めて行為する自然的事実から出発して、快楽こそが人間の幸福であり、立法を含むすべてのこういうの正しさは功利性の原理にあるといいます。ベンサムやJ.S.ミルが代表的論者です。
ベンサムの生涯と思想
ベンサム（1748-1832）はイギリスの思想家。功利主義の創始者として知られています。ロンドンで代々続く法律家の家に生まれました。12歳でオックスフォード大学に入学して法律を学び、15歳でオックスフォード大学を卒業して弁護士の資格を得ますが、弁護士実務には関心を持ちませんでした。当時、イギリスは慣習法の煩雑さを簡素化、合理化するような社会改革をしようと決心し、まずは法理論の学問的研究に没頭しました。
ベンサムは功利性の原理を道徳の基準とする功利主義を説きました。快楽を数量的に計算する快楽計算を提案して、個人の幸福の総和である「最大多数の最大幸福」を道徳や立法の指導原理として、社会全体の幸福を拡大させようとしました。幸福の分配においては、各人は平等に一人として数えられないといけないとして、誰にも特権を与えてはならないことを説きました。市民社会の平等の原則を貫いたのです。そのような信念をもとにして、普通選挙を目指す選挙法改正の運動に尽力しました。主著『道徳および立法の諸原理序説』。
最大多数の最大幸福
最大多数の最大幸福とは、ベンサムの功利主義をあらわす言葉です。最大限の幸福を最大数の人々が受けることです。つまり、社会全体で個人の幸福の総計を最大にすることを言います。ベンサムによれば、社会の利益とは個人の幸福の総計です。そしてその総計を最大にするのが法や政策の目的だと述べるのです。すべての個人を平等に総計に数え入れる特徴を持ち、個人主義や平等主義に通じます。ベンサムはこのように量的功利主義の立場に立ちました。
快楽計算
快楽計算はベンサムの用語で、快楽は客観的で数量的に計算できるという考え方です。立法の指標として、快楽や苦痛の量を測る計算で、快楽に基づく個人の幸福と、その総計である社会の利益を客観的に求めるものです。快楽は強度、持続性、確実性、時間的遠近性、多産性、純粋性、範囲という七つの計算基準があるとされます。質の異なる快楽を数値に還元することで、快楽を数量的に計算し、道徳に客観性を与えようとしました。
制裁（サンクション）
物理的制裁
物理的制裁とは、ベンサムのいう制裁で、自然のなりゆきで快楽や苦痛が生じることに由来する制裁を指します。。
政治的制裁
政治的制裁とは、権力が法に基づき行う制裁を指し、刑罰などがその例です。
道徳的制裁
道徳的制裁とは、社会や世論の評価に由来する制裁です。
宗教的制裁
宗教的制裁とは、神から与えられる制裁のことです。
『道徳および立法の諸原理序説』
1789年刊行のベンサムの主著。功利主義を道徳と立法の原理とすることをとなえました。
以上、ベンサムの生涯と思想、さらには用語についてみてきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
たかはしさとししるす
