人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

近代哲学の諸流派 大陸合理論2 スピノザ

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。どんな仕事にせよ、学ぶ姿勢でいけば学ぶことは多いと思います。だから学ぶ姿勢を忘れずに仕事に向かっていきたいと思います。

前回取り上げたのはドイツの哲学者ライプニッツでした。ライプニッツは楽観的な世界観を導き出したんでしたね。以下の記事を読んで復習しておいてくださいね。



今回取りあげるのはライプニッツの哲学上のライバル、バルーフ・スピノザです。オランダの哲学者スピノザは時計職人として有名です。スピノザはユダヤ人なのにユダヤ教のコミュニティから脱して無神論と考えられた著作をたくさん出した人物です。ただスピノザの表現でいえば、それは無神論ではないのですが、世間の人からはずっと無神論のレッテルを張られて人生を過ごしました。そんなスピノザの思想の特徴を見てまいりましょう。


スピノザの思想

スピノザ(1632-1677)はオランダの哲学者で、デカルトの合理論を引き継いで独自に発展させた人物として知られています。また、汎神論の哲学者としても知られています。デカルトの哲学を若いころに研究し、自由思想を持って宗教を批判しました。その結果、ユダヤ教会から破門されました。そうして独自の哲学を打ち立てるべく、哲学に専心しました。デカルトの二元論的思想に対抗して、一元論的哲学を打ち立てようとしました。唯一の実体は神であり、自然であるとスピノザは言います。物質界も精神界も神に由来する因果的必然性に支配されていて、個物に自由はないとスピノザは考えました。スピノザは自由意志をはっきり否定しています。スピノザの哲学は当時の人たちから無神論や唯物論の産物だとみなされることがよくありました。

精神と物質には対応関係があると考え、スピノザは心身平行論を説きました。心身平行論についてはのちに考えてみましょう。スピノザの生きた時代、神即自然かみすなわちしぜん)という汎神論的哲学は無神論として批判されました。主著『エチカ』『知性改善論』『国家論』。


汎神論

name="XAuFp">汎神論とは、一切は神であり、神と世界全体は一体のものだという考え方です。スピノザの汎神論は、特に神に力点を置きました。世界は神の様態、つまり有限な世界は無限な神の有限な側面の現れ出た姿にすぎないという考え方をスピノザは展開しました。スピノザによると、精神と物体は神の二つの属性であって、両者は神によって統一されていると結論付けました。神の二つの現れである精神と物体には対応関係があるとスピノザは考え、心身平行論を説きました。自然を神の必然的なあらわれとして永遠の相のもとにみることが神との合一に必要だ、ともスピノザは言います。現代人には少し理解しがたい思想も混じっていますが、神という前提があるものとして考えると、むしろスピノザの思想は一貫した論理があるとぼくは思います。

永遠の相のもとに

スピノザの言葉で一番有名なフレーズがこの「永遠の相のもとに」という言葉です。永遠の相のもとに万物を認識するという意味で、”永遠の相のもとに”とは”神において”という意味だから、神において万物を認識することが真の認識である、とスピノザは言います。万物は唯一の実体である神により規定されて、万物と神とつながる必然的関係において認識するときに、神との合一が見られ、ここに理性の最高の働きと幸福がある、とスピノザは主張するのです。

万物と神との間に必然的関係が常にあるとすれば、人間の行為と神との間にも当然関係があり、それは必然なのですから、スピノザによれば、自由意志は存在しません


心身平行論

精神と物体とは異なる次元のもので、その変化は平行して進行するという考え方のことです。


name="Dj2A5">たとえば、精神が悲しい思いを経験すれば、肉体は涙を流すということがありますが、ここで精神と物体は平行して進んでいると考えることができます。スピノザによると、精神で悲しい思いを経験することと、涙を流す物体的行為は、唯一の無限の実体である神の二つの異なったあらわれ方なのであって、心と物体が関係しているのではなく、ただ一つの実体の二つの側面が平行してあらわれただけだ、というわけです。

主著『エチカ』

スピノザの主著でありながら、スピノザ哲学で一番難解な著作です。定義、公理、定理、証明といった幾何学的秩序に従って神の存在や自由意志の否定などを論証しようとしていますが、最初のほうはとくに読みづらいため、読みづらいところは流し読み程度をお勧めします。だんだん自由意志論あたりで面白い話も出てきますので、粘り強く読み進めましょう。


スピノザのまとめ

後の哲学者シェリングやニーチェはスピノザのことを高く評価しています。その評価点は人によってさまざまですが、迫害されても自らの意志を貫徹したところに一つ評価が高まる要因があるようにぼくは思います。

汎神論、一元論、心身平行論、永遠の相のもとに、といった言葉が出てきたら、それはスピノザだ、と覚えておいてくださいね。時計職人でもあったスピノザの言葉は不思議で難解な部分もありますが、面白い部分に限ってとてもわかりやすい議論をしているところも多いな、と思います。ぜひスピノザの著作も読んでみてくださいね。以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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