人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

ルネサンスー中世人の古代ギリシアと古代ローマへのあこがれ

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。今日は天王寺にいってきました。知り合いの歯医者さんがネットとかPCのこと手伝ってってことで行ってまいりました。和泉府中に駐車して天王寺までいってきたんですが、意外と人はいなかったですね。ちょっと一時期より祝日は混雑が緩和されてきたかなーって気もします。

さて前回に引き続き、高校倫理の範囲をわかりやすく解説していきたいなあと思いました。主観も交えて語っているので、解釈の違いは出てくるかもしれませんが、おおよそ言ってあることはあっています。


中世から近代への過渡期としてのルネサンス

あなたはルネサンスっていうと、どの時代を思い浮かべますか?大体の方は15世紀あたりを思い浮かべるんじゃないでしょうか。代表的なルネサンスの時代は15世紀あたりで間違いないでしょう。でもほかにもルネサンスと呼ばれる時代はあるんですね。世界史をやっていたらわかるんですが、古くはフランク王国にて、西ローマ帝国の皇帝をローマ教皇から戴冠されたカール大帝がイギリスから招いた学僧、アルクィンを中心に8世紀から9世紀にかけて展開されたカロリング・ルネサンスというルネサンスがあります。もちろんカロリング・ルネサンスは王宮内の運動で民衆にはほとんど影響がありませんでした。とはいえ、このカロリング・ルネサンスも古代ローマ文化の見直し、再生といった側面はあったわけです。とはいえ、ルネサンスの時代を挙げろと言われたら、14世紀から15世紀と答えてくださいね。


ルネサンスが生まれた社会背景

name="Ef8E3">イタリアでは特に、交易活動や商業活動に従事した都市国家の市民たちが、自治を行う中小都市共同体を形作るようになりました。このような都市に住む市民が思想や宗教、文芸、芸術などの担い手となって展開した運動がルネサンスです。つまりルネサンスは交易や商業が活発になって形成された中小都市を中心に起こった運動だと考えてください。

また中世を支配したキリスト教カトリック)の考え方では、神中心的な世界観が説かれました。それゆえ人間を中心にする考え方はなかったのです。そういう世界観で古代の価値観(人間中心的な考え方)を再発見した人々が展開したのがルネサンスだと言ってもいいでしょう。


ルネサンスとは再生である

ルネサンスという言葉の意味を見てみましょう。ずばりルネサンスとは再生を意味する言葉です。なんの再生かというと、古代の再生をさします。ヨーロッパの古代とは、古代ギリシアと古代ローマのことなので、ルネサンスとは古代ギリシアと古代ローマの思想や文化の再生を意味します。ちなみに古代ギリシアで使われていた言語は古代ギリシア語、古代ローマで使われていた言語はラテン語です。これは絶対覚えておいてくださいね。ルネサンスの時代、ヨーロッパの共通言語はラテン語です。ルネサンスにおいて、自分たちが使うラテン語ではない古代ギリシア語でプラトンやアリストテレスの哲学書や聖書などの原典を研究しようとする研究態度が出てきました。これをヒューマニズム人文主義)と言います。そしてそうした研究態度をとった文化人をヒューマニスト人文主義者)と呼びました。


万能人としてのルネサンス人

name="7wM8F">ルネサンス期には一人でいくつもの分野にまたがって活躍した人がたくさんいました。レオナルド=ダ=ビンチがその代表的人物といっていいでしょう。人間を一つの職業に限らずにあらゆる能力を発揮していくことがルネサンス的理想の人間像でした。人間のもつ可能性を最大限に発揮して、狭い生き方をしないことがルネサンスの理想だったのです。

ヒューマニズムの思想家たち

ルネサンスとは古代の文化を自国の文化に翻訳するという側面があった翻訳文化だと言っていいでしょう。そして自国の言語で聖書翻訳や哲学書の翻訳が進んだとき、哲学者が自分の考えを自国語で書き記していくようになりました。ここではそんなヒューマニズムの思想家をピックアップして取り上げていきましょう。

フィチーノ

フィレンツェの支配者メディチ家に伝えたルネサンス文化人。プラトン・アカデミーを組織し、プラトンの著作の翻訳を行った人です。呪術思想や神秘思想も研究しました。

ピコ=デラ=ミランドラ

フィチーノの弟子。主著『人間の尊厳について』において、人間の自由意志を中心にする思想を展開しました。人間は小宇宙であり、みずからの創造者であるとも説きました。

ジョルダーノ・ブルーノ

カトリックから何度も異端者として抑圧された人生を送った哲学者。プラトン主義を万物に適用しようとしたり、太陽中心説を唱えました。

エラスムス


name="bCboL">古代ギリシア語の聖書や教父の文書をラテン語訳した人文主義者。近代聖書学、近代文献学の父。『愚神礼賛』にてカトリック聖職者や支配者層の堕落を批判しました。ルターのドイツ語訳聖書は、エラスムスの校訂ラテン語訳聖書を最も参照して作られています。当初は仲の良かったルターとエラスムスでしたが、エラスムスは人間の自由意志を強調し、ルターは奴隷意志といって人間に自由意志はないと論じたことで二人の仲は決裂しました。

マキャヴェリ

近代政治学の父。主著『君主論』にて君主に必要なのは清貧や徳ではなく、政治的な打算ができる人間であることを説きました。政治を道徳や宗教から離れて語るべきだとも主張し、その点も評価されています。


ルネサンスのまとめ

ルネサンスとは、閉塞感漂う中世に生きる人たちが、古代ギリシアや古代ローマの文化を再発見することで、人間の可能性に気づいて起こった運動だと言っていいでしょう。現状が行き詰ったとき、過去の自分たちのルーツを掘り下げていこうとする動きは、文明社会ならどこでも見られることですが、ルネサンスはその代表例だと言っていいでしょう。

ともかくルネサンスはヨーロッパに近代の道を切り開く役目を果たしました。ところが中世から近代にいたるもう一つ大きな運動があります。それが宗教改革という運動です。

次回は宗教改革についてでも書きましょうかね。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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