人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

書評について

 
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哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
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 mixiにも本やCD、DVDについてのレビューがあります。これがなかなか面白い。レビューはだいたいの人が一読目に見たものを書き、その印象を書き記すというわけです。
 ですが、この一読目の印象について書き示すのと、何度も読んでその中の意見を組みつくすのじゃ、まるで価値が違う気もします。実際、私は一読してわからなかったことが、二読目でわかったり、あるいは三読目、四読目と進めば進むほど、その理解が進むような気がします。こういった書評は何読目であるか、とかを記したほうがいいのか、だいたいの人は本は一度しか読まないから、それでいいとするのか、どっちが良いかはわかりませんが。
 キルケゴールは『序文ばかり』という著書を記しています。私は読んだことがないのですが、文字通り8つの序文ばかりが収録され、さらに「はじめに」と題した序文が書かれてあるそうです。この著作は、キルケゴールが当時の批評家たちに向けて発した警告です。すなわち、序文ばかり読んで、本文の内容を組みつくさない批評などするな、ということでしょうか。
 私たちもこの点を注意しなければいけません。私も一読目で書評を書くこともありますが(ちなみに『未来のなかの中世』所収論文シリーズは書評ではなく要点をまとめたもの)、キルケゴールが序文ばかり読んだだけじゃないか、という書評をしてるんじゃないかなあ、と思ってしまいます。
 別にどうといいたいわけじゃありませんが、少し気になったので書いてみました。

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Comment

  1. よ~ちゃん より:

    僕は少なくとも二度は読みたくなる本が良い本だと思ってます。

  2. たかはしさとし より:

     なるほど、確かに仰る通りですね。一度でいいと投げ出したくなる本は、自分にとってそれほどの価値もないのかもしれません。

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