人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

ベンヤミンの弁証法―救済

 
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 通常の弁証法は、二分法により積極と消極を区別し、そうして得られた消極部分は積極部分を明白に浮き上がらせる役割をもつのみである。消極部分は排除され、さらにその積極部分を積極と消極を区別し、さらなる積極部分を照らし出す。
 プラトンにおいては、こうした二分法(ディアイレーシス)が、絶え間ざる積極部分への追求によって「イデア」を作り出すのである。積極部分(=光)は「イデア界」、消極部分(=闇)は「現象界」であり、「イデア界」は「現象界」を超越する。
 しかしベンヤミンはそうはしない。ベンヤミンによれば、二分法によって区別された積極部分は、「表層の歴史」とされる。言い換えれば、光はあくまでも現前の歴史的事実である。ベンヤミンの弁証法は、光をさらに進むのではなく、闇(=消極部分)に向けられる。そうして消極部分の二分法を推し進め、そこで現われる積極部分をすべて拾い集める。そうした闇の積極部分こそ、概念的に把握される歴史の真実、または「根源の歴史」である。これが「二分法の二分法」と呼ばれる方法である。
 そうして、歴史的に忘れ去られた闇の部分を「救済」し、「根源の歴史」として取り上げるのがベンヤミンの目的であった。
 と概念的にはなんとなく把握できそうなものだが、実際のベンヤミンの方法はひどく複雑、難解極まりない。少しずつわかるように努力して読まなければならない。
 種本は今村仁司『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』です

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Comment

  1. 退会したユーザー より:

    勉強になる・・・

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