人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

デュルケームの人と業績②『社会分業論』

 
この記事を書いている人 - WRITER -
哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
詳しいプロフィールはこちら

  『社会分業論』は当時の学界で支配的だった「進化」の思想に従い、社会の連帯組織・統合原理に関する一種の発展段階説を展開したものである。デュルケームによると、人間社会は前近代的時代における「環節的社会」から近代的な高度文明社会(=「組織的社会」)へと発展するのである。「環節的社会」においては「機械的連帯」が重視され、相互に類似した氏族の連結が統合原理であり、また血縁や地縁によって互いに結ばれ、伝統が行動を支配している。「文明社会(=組織的社会)」においては有機的連帯が重視され、自由な個人としてそれぞれ異なる職能を営むようになる(分業の発達)。
 この発展段階説を明らかにすることによって、デュルケームは「道徳の科学」(=社会学)を樹立させようとする狙いがあった。デュルケームによると道徳とは実現ずみの諸事実の一体系かつ世界の全体系に結びつけたものである。すなわち道徳的実在とはまさしく社会のことであり、彼は社会学の確立を本書で図ったのであった。

この記事を書いている人 - WRITER -
哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© ニーチェマニア! , 2010 All Rights Reserved.