『死にいたる病』6 1-C-A-a(1-3-A-a)
A 絶望が意識されているかいないかという点を反省せずに考察された場合の絶望。したがってここでは総合の諸契機のみが反省される
a 有限性―無限性という規定のもとにみられた絶望
「自己は無限性と有限性との意識的な総合であり、この総合は自己自身に関係する総合であって、その課題は、自己自身になるということであるが、これは神への関係を通してのみ行われることである。ところで、自己自身になるとは、具体的になるということである。…具体的となるべきものは、総合に他ならないからである。」
この総合が崩れたとき、自己は自己自身でならないことであり、自己は絶望しているのである。無限性と有限性とが同時に存在していないとき、つまりどちらか片方のみが存在しているときに、人は自己自身を失った状態となり、絶望は現れる。次のα、βではその(有限性を欠いた)無限性の絶望と(無限性を欠いた)有限性の絶望について見ていく。