人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

神話から哲学へ・古代ギリシアの哲学の誕生|高校倫理

2021/05/17
 
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哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
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どうもこんばんは、高橋聡です。今日は休みでした。ゆっくり休めたので、読書と記事のネタ探しをしておりました。少しネットカフェに寄ってみたんですが、多くもなく少なくもなく適度に人はいましたが、読書には集中できたので良かったとしましょう。からあげがいっぱい乗ったカレーを頼んだんですが、おなかいっぱいになりましたよ。快活倶楽部を利用する際は唐揚げカレー頼んでみてくださいね。

さて今日は高校倫理の初めのあたりの部分、古代ギリシア哲学の誕生という部分について見て行きたいと思います。神話から哲学へ移り、哲学の特徴を見て、最後に古代ギリシアに現れた自然哲学者を案内して終わりにしましょう。

その前に、高校倫理の前に書いた記事についておさらいしておきましょう。

前の記事|やり直しの高校倫理 最低限これだけは押さえておけ!近現代哲学編

高校倫理についてのいわゆるまとめ記事で書きました。近現代哲学の主要な人物の流れについて書いております。次にリンクを貼っておきますね。

高校倫理について少しでも知りたい人はぜひよんでみてくださいね。

それでは本編に入っていきましょう。

古代ギリシャの哲学の誕生

神話(ミュトス)からロゴスへ

神話

古代ギリシアの人間にとって自然は驚異であるとともに恵みでもありました。人間の力をはるかにこえた自然の力を古代ギリシア人は神格化して、崇めまつりました。そして人々は人間の理解を超えた現象を、自らが自然を神格化して生まれた神々の力の働きとして説明しようとしました

これが神話とよばれるものです。神話は文学的な性格をもちながらも、世界と人間について語ります。さらに神話の奥にはそれぞれの時代や地域の生活や文化が繁栄されて語り継がれてきた物語なのです。

古代ギリシアにおいては、ヘシオドスが『仕事と日々』で神々と人間の関係を語りました。ホメロスは『イリアス』『オデュッセイア』で人間と同じようなふるまいをする神々と、神々と人間の運命について物語りました。ギリシア悲劇はそうした神々のあやつる運命を果敢に戦おうとする人間をテーマとした作品なのです。

ロゴス

しかし紀元前6世紀ごろになると、自然界の出来事を神々ではなく、観察論理的思考によって説明しようとする人々が現れました。そうした人々は、自然や世界にはロゴス[理法]が何らかの形で支配しており、人間の理性[ロゴス]によってその理法を解明しようとしました。つまり神話的説明から論理的説明へと自然や世界の説明スタイルがこの時点で変化した、といえましょう。

なぜ哲学が誕生したのか

なぜロゴスが重視され、哲学者が現れるようになったのでしょうか。これは外的要因、つまり環境の変化から哲学の誕生を説明する方法ですが、地中海地方は特に商業が発展し、民族間の交流も盛んになった時期でした。各民族は固有の神話を持っており、それを共有することで民族として成り立っているわけです。ところが異民族の神話に触れると、雷はなぜ落ちるのか、といった説明も民族ごとに異なっていて、その説明に普遍性がないことに気づくわけです。

そこで古代ギリシア人はそのような説明は間違っていると考えて、神話的説明をやめて哲学的説明というものに移ったわけです。その最初の哲学的説明をした人がタレスという人ですが、この人の話はあとですることにしてまず哲学の特徴についてみていきましょう。

哲学の特徴

哲学する人の特徴はなんでしょうか。列挙しましょう。

  • 理性[ロゴス]への絶対的信頼
  • 万物の根源・始源(アルケー)の探究
  • テオーリア[観想]の重視
  • 閑暇[スコレー]があった自由人

以上の特徴について簡単に見ていきましょう。

理性[ロゴス]への絶対的信頼

哲学的態度は、人間の理性というものに対する絶対的な信頼に裏打ちされているものです。ロゴスとは言葉や論理という意味もありますが、つまりは言葉や論理が説明を成り立たせるうえで絶対的な価値をもっていることを前提に哲学する人は哲学を行うのです。

万物の根源・始源(アルケー)の探究

そして理性によって、万物を根底から成立させるアルケーを探求しようとします。アルケーとは根源や始源のことですけど、転じて原理という意味もあります。つまりすべてを成立させる原理が何かを探求するのが哲学だ、といってもいいでしょう。

テオーリア[観想]の重視

テオーリアとは事物を冷静かつ理性的に観察することを指します。激情をもって怒ったりしながらするのは哲学ではありませんし、感情だけで判断するようなものはおおよそ哲学とはいえません。

閑暇[スコレー]があった自由人

当時のギリシアは古代奴隷制が存在したため、住民は奴隷を所有し、自由民である住民は学問や議論をするための閑暇がたくさんありました。スコレーとはひまを意味するギリシア語で、スコラ哲学や学校の語源ともなっています。

自然哲学の誕生と自然哲学者

自然哲学の誕生

ギリシアの東方にあった古代オリエントの学問は、実用性を重視したものがほとんどでした。こうした東方の学問がギリシア地方に輸入されてくる過程で、ギリシアでは特にその学問の背後にある原理や法則に関心が向けられ、実用性を離れて純粋な知的関心に基づく探求が行われました。そうして哲学が誕生したのです。

知に対する純粋な情熱、知を熱烈に請いあこがれる気持ち、つまり知への愛こそ哲学の本質であり、それゆえに哲学はフィロソフィア、愛知と呼ばれるのです。まずはじめにこの哲学をはじめたのが自然哲学者たちであり、彼らは世界や宇宙を対象に哲学を行いました。

自然哲学者

タレス

タレスは「万物の根源は水である」と説いた哲学の祖です。記録はほとんど残っておらず、断片的な情報しかありあません。ただし日食の予言を行ったり、干ばつがいつ起こるかを予測して食料を買いだめしておいて高値で売るなどの逸話が残っている人物です。水が根源であるというのはよくわからないと思われるかもしれませんが、とにかく万人が水の存在を知っており、その水から世界はできているという説明は一応説明としては成り立っているわけです。そして万人が概念としては理解できる説明を作り出したところにタレスの偉さはあります。それゆえに哲学の祖と呼ばれたのです。

ピタゴラス

ピタゴラスは南イタリアのクロトンというところに教団を作って、弟子たちとともに魂の浄化のための修行を行ったといわれています。その学派の学説がすべてピタゴラスに帰せられて現代伝わっているのです。彼らは肉体は死ぬが、魂は不滅であると考え、輪廻転生に近い考え方を説きました。そのために魂の浄化を行って禁欲的生活を送っていたといわれます。魂や音楽、数学、宇宙はすべて数であらわすことができ、によって調和を保って秩序立てられていると考えたので、ピタゴラス教団は数学を学問として尊んだのです。

ヘラクレイトス

ヘラクレイトスは「万物は流転する」と説いたことで有名な哲学者です。彼はが始原的な元素であると考えて、万物の根源は火であると考えたのです。火は変化のことを意味しますが、その変化こそが世界の理法だと考えました。

エンペドクレス

エンペドクレスは万物の根源は四元素によって成り立つと考えました。四元素とは、水、空気、火、土の四つの要素ことで、彼はそれら四つの要素が愛と憎によって集合離散を繰り返すと主張しました。

デモクリトス

デモクリトスは古代ギリシア最後の自然哲学者にして、近代科学にも通じる原子論を説きました。万物の根源は原子であり、原子とは内部に運動エネルギーをもった分割不可能な物質のことです。

神話から哲学へ・総括

古代ギリシアにおいて神話的説明は哲学的説明へと移っていきました。万人が納得でき、かつ理解できる言葉で世界や自然の原理や法則を説明することを目指したのが自然哲学です。こんな自然哲学など学んでも意味がない、ただ自然科学の矮小化されたものだという人がいるのは確かなんですが、ぼくはその意見にはくみしません。人間の思考の進化・発展もそれにふさわしい順序があるのだから、これらが大事じゃないと思っても無視してはいけない、とぼくは少なくとも思います。

今回は古代ギリシアの神話から哲学へ、そして自然哲学についてみてきました。最後まで読んでいただき、ありがとうござました。

高橋聡記す

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