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孔子の思想—仁を大切にする儒学・儒教|高校倫理


 

春秋戦国時代における諸子百家の登場

古代中国では紀元前11世紀に殷(商)が滅び、新たに周王朝(前11世紀~前256年)が成立しました。殷が滅んだのち、周は当初黄河中流域の西の都である鎬京(長安・西安の対岸あたり)に都をおきました。この時代を西に都をおいた周ということで西周の時代と呼びます。周の北西にいたとされる異民族、犬戎(けんじゅう)の攻撃をうけ、前770年の平王が東の成周(洛邑・今の洛陽)に都を移します。前770年以降の周王朝を東周と呼びます。なおかつ、東周の統治時代の前半を春秋時代、後半を戦国時代と呼びます。春秋時代末から戦国時代にかけて、周の統制力は衰えて小国が立ち上がり、諸侯が互いに争い合いました。その混乱の時代に現れたのが諸子百家と呼ばれる人たちです。諸子百家は諸侯や民のリーダーなど様々な人たちに仕えたと思われますが、そこで大事にされたのが民衆統治の方法富国強兵の方法だといわれています。

儒家、道家、陰陽家、法家、名家、墨家、縦横家、雑家、農家、小説家の十派に分類されることが多く、それに加えて兵家があります。特に重要なのが儒家、道家、墨家、法家の4家です。彼らは諸国を遊説し、諸侯の客となって、政治顧問として招かれることも多かったといわれています。

そんな中で今回紹介するのは、きっとあなたもご存じ、孔子です。

仁を大切にした孔子

孔子は儒家の始祖です。孔子の母の姓が儒だったと伝わっており、その母の家系は葬式や祭祀を司る一種のシャーマンのような家系だったらしいですが、その儒の思想集団として儒家が現れたのです。
孔子とは孔先生といった意味で、姓が孔、名が丘、字が仲尼だと伝わっております。山東省曲阜の人で、前551年に生まれて、前479年に亡くなっています。

道徳としての儒学

儒学とは人の生き方についての教えであり、同時に道徳のことです。人は常に他者とともに生き、社会を形成します。社会があるところには、人として歩む道である道徳が生まれます。孔子は道徳を学んで、徳を身につけた高い人格の人を君子と呼び、人間は君子として自己を完成させることが大事だと説きました。

孔子が最も理想とする人格は君子ではなく、聖人です。円満かつ完全な聖人は堯や舜など古代の中国の歴史を開拓し、文明化した人々を指します。聖人を範にし、理想として目指す現実的な存在が君子です。聖人と君子の関係は、仏教における仏と修行僧の関係と似ていると言っていいでしょう。

仁の概念

孔子は、人が身につけるべき基本的な徳を仁と呼びました。仁は、人が互いに相手を思いやり、親しい関係にあることを意味する言葉です。孔子に言わせると、仁とは「人を愛すること」であり、仁から「親への愛(孝)や年長者・兄への愛(悌)」が生まれるといいます。

儒学では、家族の間ではぐくまれる愛や感情、敬意などをことのほか重要とします。家族間でのそうした思いやりの心は、地域社会や国、そして世界での政治においても、とても大事なものだと孔子は説きました。こうした感覚は現代では希薄かもしれませんが、家族の絆を見つめなおすことはとても大切なことです。結局のところ、家族を治められない人に国家は治められないというのが儒学の指摘なんですね。

私たちは仁を実践する上で、何を心がけるべきでしょうか。孔子によれば、「思いやりである恕」を実践することです。この恕を心がける上で大事なのが、まず「自分にしてほしくないことは、人にもしないこと」がスタートになるのです。相手の心を直接読み取ることはできませんから、自分の心で思うことをまず相手に当てはめて行動する大事さを説くものです。
孔子はさらに忠という概念も重視します。忠とは真心のことで、本心から思ったことを誠実に行う大事さを説きます。忠と恕の二つがあわさって、仁が成り立つのです。

さらに孔子は宗教的な儀礼であり、社会的な礼儀作用であった礼を、仁が外面に現れたものだと説きました。礼を守ることで相手を尊重する東アジアの文化はここに端を発します。そして孔子は、礼を道徳の基本だと位置づけたのです。

君子

君子とは仁と礼をそなえた人物であり、目先の利益を追求してばかりいる小人と対置しました。人間としての教養を高め、人格を陶冶することが儒学の最大の目的です。
このように道徳を重視し、道徳によって人民を治める徳知主義を孔子は説きました。とはいっても、孔子が生きた時代に徳知主義を実践しようとする諸侯はいませんでした。しかし漢代以降、徳知主義は中国大陸の政治思想の根幹をなす考え方として定着しました。

孔子は神秘的な力や死後の世界など、人間が現実的に判断のつかない事柄を、あえて問いませんでした。こうした態度は西洋における特にカント以後の合理主義とも相通ずるところがあり、さらにブッダの考えとも相通じるところがあります。日々の生活の中で自分の人間性を磨き、人として道徳的に向上することを孔子は求めました。

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