人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

功利主義の前段階 アダム=スミス

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。昔の仕事のお客さんが今の仕事にもつながってて、意外と知り合いの知り合いがいるのにびっくりした今日この頃です。いろんな人の縁で社会は成り立っていると実感した今日この頃です。


前回の記事・ヘーゲル

さて、前回はヘーゲル哲学についてみてきました。まとめでした。ヘーゲルっていうのはとても面白い哲学者で、哲学書は何いってるか全くわからんくても、概要はだいぶわかりやすい哲学を説いております。リンクは以下から飛べます。



まだ読んでいない方は是非読んでみてください。きっと気づきがありますよー!


古典派経済学の祖・アダム=スミス

本日紹介することになるのは、功利主義の前段階に位置する思想家というわけで、古典派経済学の祖とわれるアダム=スミスです。アダム=スミスの人生と思想を少し紹介したいと思います。

イギリスやフランスでは市民革命を通して、市民社会が誕生しました。市民とは利益の追求をしようとして経済活動を行う私人を指します。その市民によって成り立つ社会が市民社会であり、市民社会の個人主義と自由主義の倫理は資本主義経済の基礎となる部分をすでに提供しています。

そんな中、イギリスでは蒸気機関の発など明による生産技術の革新がおこります。世にいう産業革命でございます。産業革命とはいいますが、産業だけに影響を与えたわけではなく、経済や社会全体に大きな影響を与えました。この産業革命こそ、近代資本主義を確立させるきっかけとなる出来事でした。

アダム=スミスはそんな産業革命の最中に登場した経済学者、哲学者でした。スコットランドに生まれて、母校グラスゴー大学の教授や学長を務めました。哲学的に言えば、スコットランド啓蒙の一員で、ヒュームと同時代の人でした。アダム=スミスの道徳哲学では、公平な観察者の共感を得られる範囲で利己的な行為が認められるという道徳感情論を説きました。また経済学では、人それぞれが自由な利益を追求することで社会全体の生産力が高まり、その結果富を増大させるという自由放任主義を唱えました。自由主義経済を基礎づけたとても大事な人物の一人であり、経済学という学問を形作った人です。富の源泉を各人の労働による生産力に求めました。その考え方を労働価値説と呼びます。


共感

name="m1ugr">アダム=スミスの唱える共感とは、他人の幸福や不幸を共に感じて、自己と他者を結びつける社会的な共同感情のことです。同情心とも呼びます。簡単に言えば、他人の幸福や不幸をともに感じたり、他人の感情やふるまいに対して「自分もそう感じるだろう/そうふるまうだろう」と納得することです。これをアダム=スミスは道徳的判断の原理としました。スミスは各人の利己心は認めます。でもある行為が認められるためには、事情をよく知っている第三者である公平な傍観者(公平な観察者)から共感を得られるものでなければならない、と共感に社会的な正義の基礎としたのです。そうした議論の背景にはスミスの師であるハチスンやスミスと同時代人ヒュームなどスコットランド啓蒙主義者たちによる道徳感情をめぐる議論があるのです。

道徳感情(モラル=センス)

善悪はすべての人に生まれつき備わる道徳感覚によって直接知ることができるという考え方です。シャフツベリー3世、ハチスン、ヒューム、アダム=スミスらが道徳感覚学派として知られています。


自由放任(レッセ=フェール)

自由放任、あるいは自由放任主義とは国家による経済活動の統制ではなく、経済活動は各人が利己心に従って利益を求めて行う自由競争に任せるべきだという考え方です。自由競争にまかせておくと、神の見えざる手が市場を調整するとアダム=スミスは考えました。小さな政府・安価な政府、のちに夜警国家と揶揄されるような国家が理想だとスミスは考えました。


『国富論』(『諸国民の富』)

name="78wm5">1776年に刊行されたアダム=スミスの主著で、経済学の古典。国家が国内の産業を保護して国を富ませようとする重商主義を批判して、産業活動に従事する市民が労働によって価値を生むという労働価値説を説きました。本書で個人の経済活動は国家全体の利益と結びつくとアダム=スミスは考えました。

『道徳感情論』

1759年に刊行されたアダム=スミスの主著。他人を思いやる共感などの道徳感情が、社会正義の基礎にあるとアダム=スミスは説きました。

以上、古典派経済学の祖として知られるアダム=スミスの思想について考えてきました、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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