人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

仏教のドゥッカという概念は日常生活に役立つ

2017/03/18
 
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哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
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こんばんは。
どうも哲学エヴァンジェリスト高橋聡です!

今回は原始仏教のドゥッカ(dukkham)という考え方と
そこから役立つ点、教訓などをあなたにお伝えします。

ドゥッカ

仏教の四聖諦、つまり4つの真理のうちの第一番、
日本語では苦諦と呼ばれるものがあります。
ドゥッカとは、その苦諦の苦と中国で訳され、
日本にも入ってきました。

でもドゥッカという概念は
漢字につきまとう苦というイメージだけでは語れません

一時的に楽しいと思うことも
悲しいと思うこともすべてドゥッカに含まれます。

ではドゥッカとは何か。
端的にいうと、ドゥッカとは
通常の意味の苦しみに加え、
不完全さ、無常、空しさ、実質のなさ
を意味します
(ワールポラ・ラーフラ『ブッダが説いたこと』岩波文庫)。

この世の中のものはすべて
ドゥッカ(一切皆苦)です。
かといって、
ブッダは幸福を否定するわけでは
ありません。
むしろ物質的な幸せ、精神的な幸せが
あることをブッダは認めています。

でもそういう幸せも一時的なもので
移ろうものなので、やはりドゥッカに含まれるのです。

「無常なるものはすべてドゥッカなのである」
ということなのです。

どういうことでしょうか。
ドゥッカとは
この世に絶対的なものなんて
ひとつもなく、すべては相対的なものだ、
というのが真意です。

世界は単に苦しいものであるのではなく、
つねに移ろいゆくものだ。
仏教は世界の本質について判断しているだけで、
この点で悲観主義でも楽観主義でもありません。

その世界の本質を知れば、
自ずとドゥッカの原因が何かを求め、
そのドゥッカを消滅させる方法は何かを
考えるようになる、
ブッダはこう言いました。

ではこのドゥッカに関する考えは
どういう場合にあなたは役立てることができるでしょうか。

仏教は悲観主義でも楽観主義でもないと
いいましたが、一切皆苦ということばが示す通り、
果てしなく悲観的です。
つまり、ドゥッカという考えを学べば、
世界については悲観的に捉え、
最悪の出来事がつねに起こりうることを意識して
行動するように促してくれます。

なんで悲観的に世界を捉えないといけないかというと、
人が幸福な状態が永続することは絶対にないからです。
諸行無常、つまり世界のすべては無常で移ろうものだからです。
このことを認識して行動できれば、
実は今起こることが最悪の状態で
あったとしても、割と楽観的に
起こるべきことに対処することができます。

ドゥッカとはリスクマネージメント

つまり、一切皆苦、
世界の本性はドゥッカであるという考えは、
現代社会でいうリスクマネージメント
を勧めているものです。

リスクマネージメントにはリスクの分析や
分析から予想されるリスクや問題点、
リスクへの対処法を考えることなどが
含まれます。

いうならば、一切皆苦とは
楽観的に世界や物事を解釈して、
いざ何か悪いことが怒ったら悲観的になって
投げやりになることを抑えるための
前提なんです。
一切皆苦を知り、
自分なりの人生のリスクマネージメントを
しようぜっていうのが
仏教のドゥッカという概念の現代的メッセージです。

そう考えると、仏教の考え方は
非常にポジティブに見えてきませんか?

だから、あなたは
この世は移ろいやすいものだから、
つねに最悪の状況が
目の前に出現することを想定してみてください。
そうして、悲観的に見える捉え方ですが、
その最悪の状況が出てきたときも、
つねに最善の状況で対処できるように
対処策を考えましょう。

そうすることで、人生のリスクマネージメントを
行っていることになり、
人生は実はすごく暮らしやすい
ものだと気づくことができます。

あなたも是非、このドゥッカの考えを
活かしてみてください。


 

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