人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

ドラッカー『マネジメント』を読む

2020/08/03
 
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哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
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どうも、高橋 聡です。今日はドラッカーの『エッセンシャル版 マネジメント』を取り上げていきます。ドラッカーはマネジメントに単なる経営や管理のことだけでなく、さまざまな人が幸せになる工夫のことが盛り込まれているのがとても興味深いところです。顧客と従業員重視の組織経営こそ必要だと説いたドラッカー、そんなドラッカーの言う通りにすれば、たしかに全員がWIN-WINの関係を築けるでしょう。

マネジメントは成果を上げるための機能

さっそく引用から入りましょう。

すべての組織はマネジメントを必要としている。
そのマネジメントには基本と原則という変わらざるものがある。
基本と原則はそれぞれの組織が置かれた状況に適用させなければならない。
基本と原則に反する組織は、例外なく破綻する。
全体主義に対して自由と尊厳を守る唯一の方策がマネジメントを用いて組織において高い成果をあげること。マネジメントとは、成果に対する責任に由来する組織の客観的な機能。
マネジメントには三つの役割がある
①自らの組織に特有の使命を果たす
②仕事を通じて働く人たちを生かす
③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する

この箇所でわかること、それは社会があってこその組織だということです。そしてその組織が成果をあげることで、社会がおかしな方向に向かわないようにする使命感から、ドラッカーはマネジメントを語ります。全体主義のような社会にならないために必要なのが、組織で働くことに意味があり、かつ価値があることなのです。ちなみに全体主義とは組織がだめだから私たちの生活は苦しい、だから国家を頼らないとやっていけないという考え方のことです。この全体主義に対する唯一の方策がマネジメントなのです。

そんな組織のマネジメントを遂行する人をマネジャーと呼びます。マネジャーに必要な素質としてドラッカーがあげるのが、才能ではなく、真摯さという特質です。紳士さは真面目であるだけでなく、公平性も考慮して行く必要があります。とにかく、真摯さこそがマネジャーに必要な素質なのです。

マネジメントの理想

ドラッカーのすごいところは、現実に即した洞察や知見からマネジメントの理想の姿が語られているところです。単なるデータにだけ即しただけのものでもなく、なおかつ主観的な思い込みからだけではなく、両者のバランスをとってマネジメントが語られていて、だからこそ今でも生きた古典として読み継がれるのです。ドラッカーのいうことは不可能だという人がいますが、ぼくは決してそうは思いません。

たとえば企業は顧客と従業員こそ大事にせよ、とドラッカーはいいます。顧客には欲求を満たすことで満足を与え、従業員には成長できる環境を用意し、自己実現にむけて協力することで満足を与えるのです。結局ドラッカーのマネジメントとは、誰一人LOSEを出さないWIN-WINの関係構築のための方法論なのであって、そこがドラッカーの著作の感動を呼ぶところなのです。

あなたもぜひ、人の上に立って指導するようなことがあれば、一度は本書を手に取って読んでみましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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