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過去の投稿シリーズ:『カント入門』

こんばんは!
草の根平和推進者 平高橋聡です。
石川 文康先生の『カント入門』のレビューです。
2011年04月14日15:26 mixi

カント入門 (ちくま新書)
石川 文康
筑摩書房
1995-05


カントの哲学とは何か。本書の教えるところによれば、
一貫した「仮象批判」の態度を貫徹した哲学である。
「仮象」とは、客観的視点と主観的視点が入り混じった結果起こる、見かけや先入観のことである。
カントはこの仮象と戦い、真理を探った哲学者なのだ。 
真理の最高決定機関であるはずの理性が二枚舌で人間を誤らせる。
それがカントの発見した4つのアンチノミーである。
その中で特に重要なものが、第三アンチノミーである。 

第三アンチノミー 
テーゼ:自然法則による因果性だけでなく、自由による因果性もある。 
アンチテーゼ:自由は存在せず、すべてが自然法則によって起こる。 

両命題は、互いに排斥しあっているように見える。
だが、カントによるとどちらも真なのである。
テーゼは英知界における存在者として可能であり、
アンチテーゼは自然界における因果として起こっている。

つまり、それぞれの妥当範囲が異なるという。これらは小反対対立なので、仮象矛盾である。
そして、ここで確立された「自由」は実践理性へと向かう。そこらへんの詳しい話は本書を読んで欲しい。 
 
 
本書で印象的だったのは、カントのルソー告白の場面である。
いかにカントがルソーから影響を受け、ただの学者から哲学者へと成長したか、
わかりやすい説明がなされている。その「回心」の意味は、本書の色々な場所で確認することができる。

 
カントの重要な概念、
例えば「理性」「アンチノミー」「コペルニクス的転回」「物自体」「ア・プリオリ」「自由」「道徳」「判断力」「宗教」といったものがよくわかるように構成されている。
カントの用語は少しとっつきにくい部分があるが、そこを乗りこえれば、本書は良書である。 

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