人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

近代哲学の巨人 カント1

2021/05/13
 
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どうも、たかはしさとしです。寒さもようやく出てきました。ようやく冬にむけて進んでいってるなーっという感じですね。道ゆく木の葉が紅葉してきて、とてもきれいになっています。

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それでは今日の本題に入っていきましょう。今日のテーマは近代哲学の完成者の一人、カントです。

カントの生涯と思想概括

イマヌエル・カント(1724-1804)はドイツの哲学者です。啓蒙思想の完成者にして、独断論と懐疑論を解決した批判哲学人格主義の道徳を説きました。プロイセンのケーニヒスベルクで生まれ育ち、生涯この街を一歩も出ることがなかったカントは、大学を卒業後、各地で家庭教師として働きました。その後、母校のケーニヒスベルク大学に招聘され、学部長や総長を歴任しました。午後3時半にぴったり散歩をするカントをみて、時計を合わせる人がいたというくらい時間に正確な人間でした。

カントの思想の出発点は、ニュートンの物理学とライプニッツの合理論を学び、ニュートン物理学に適合した合理論的哲学を打ち立てようとしました。ところが、懐疑主義者ヒュームの著作を読んで、因果律でさえ人間の想像力の習慣に過ぎないという部分に出会い、カントは衝撃を受けました。カント自身の言葉を借りれば、ヒュームとの出会いは独断のまどろみから覚め、認識論的基礎付けを考え始めたきっかけとなったのでした。また日課だった散歩を中断してまで熱中したルソーの『エミール』から、「人間を尊敬することを学んだ」ともカントは言っています。

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name=”HD5kP”>カントは理性能力の限界を見定める批判哲学を確立して、大陸合理論とイギリス経験論を総合的に解決しました。『純粋理性批判』では物自体現象の区分を使いわけて、アンチノミー論を展開しました。カントは自由な道徳的主体としての人格は、因果律に支配される現象界に属するのではなく、物自体の世界(英知会)に属するものだと説きました。人間は感性的な存在としては現象界に属しますが、道徳法則にしたがう自由な主体としては英知会に属するのです。

カントの生涯と思想の全体像はこういったところです。

カントに関していえば、とにかく説明する項目が多くなるので、分けて考えたいと思います。本日の用語は、独断のまどろみ、批判哲学、コペルニクス的転回という3つの用語です。それではこれらの用語についてみていきましょう。

独断のまどろみ

独断のまどろみとは、ヒュームの因果律の否定からカントが認識の基礎付けが必要だと悟るようになったきっかけとなった出来事で、哲学的な独断からめざめた体験をさします。

ヒュームは因果律を否定しました。さらに人間が認識できるのは知覚されたものだけだと唱えました。ヒュームは知覚されたものに対応する物体が外界に実在するのではないと言い、物体の実在性をも否定しました。

カントはこうした考え方に触れて、外界に因果律が支配する物体が実在すると思い込んでいた独断をさめされました。このことが、結果的に批判哲学を構想するきっかけとなったのでした。

批判哲学

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name=”Uoktf”>カントの哲学の立場をさす言葉である批判哲学は、人間の認識能力が及ぶ範囲と限界を見定めるために、理性の能力を批判して検討する哲学です。カントは理性の能力が及ぶ範囲内でしか、判断をしないという原則を守ります。カントは人間が知ることができるのは感性に与えられた現象だけであって、その現象のもととなる物自体は決して人間には認識できないと考えました。さらにカントは、人間は感性に与えられた現象に、悟性の認識の枠組み(カテゴリー)をあてはめて一定の対象を構成すると考えました。

理性で考える合理論のみでは空虚な独断論に陥り、感性に頼る経験論では懐疑論に至る、とカントは指摘します。カントの優れた点は、現象を受け取る感性の経験と、それらを対象へと組みたてる悟性の思考があわさって認識が成り立つと考えたところです。そうして経験論と合理論を総合して相互の問題点を解決しました。

紙や永遠について経験を通して考える形而上学はカントによれば、不可能であり、あくまでも神や永遠は希望や信仰の対象にすぎないと説きました。

コペルニクス的転回

認識が対象に従うのではなく、対象が認識に従う」のである、とカントが表現した哲学上の大転回のことをコペルニクス的転回と呼びます。カントのことばにしたがって言い換えれば、主観が客観に従うのではなく、客観が主観に従うということ。つまり客観は主観的な認識にしたがってはじめて成立するんだよ、ということをカントは説いたのです。

カント1まとめ

カントの思想の全体像とカントの大事なキーワード3つを見てきました。近代哲学の巨人カントはケーニヒスベルクの地から出ることはなかった静かな生涯を送った男でしたが、その思想は西洋全土の思想を大変革させるものとなりました。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

<p
name=”FTFjd”>たかはしさとし しるす

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