行動療法の歴史1/精神障害を知ろう
2021/05/13
どうもこんばんは、たかはしさとしです。最近ほんと寒くなってきましたね。体調には気を付けていきましょう。ところでぼくはnoteでは高校倫理の復習のための文章などを書いてきました。こういう文章になると、ある程度思ったことばかり書くことが難しくなってくるため、書いている喜びがちょっとずつ減ってきたような気がします。そして統合失調症や精神障害について全く書いていなかったので、少し書いてみたいと思います。
統合失調症とLemonについて書いたのが以下の記事。読んでいない方はぜひ読んでみましょう。
ではさっそく内容に入っていきましょう。
精神療法の中の行動療法
精神障害の治療法の中で、投薬療法や電気ショック療法などの物理的療法とは違い、特に対話を中心として行われる治療法を精神療法や心理療法と呼びます。この精神療法(心理療法)のうち、学習理論や行動理論(特に初期の精神療法は行動主義心理学の理論を想定)に基づいた行動変容の手法を用いた治療法を行動療法と呼びます。この行動療法には世代があり、それぞれ特徴が異なります。そうした特徴について見ていきましょう。
第一世代の行動療法
第一世代の行動療法は1950年代にはじまりました。この世代の行動療法は、適切な行動に矯正するためにアメとムチを用いて、患者自身を訓練、トレーニングするような心理療法のことをさします。行動主義心理学の理論を基礎として、人の行動を変えてみせようという治療法です。行動主義心理学
ここで行動主義心理学について考えてみましょう。行動主義心理学とは、人の心的状態・内的状態を取り上げなくても、行動を科学的に研究できるという心理学上のアプローチの一つです。行動主義心理学という言葉がまだない時代、行動主義の理論形成に特に影響を与えた研究があります。条件反射について研究したロシアの生理学者イワン・パブロフの研究です。パブロフの犬で知られる犬を用いた実験によって、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけと呼ばれる現象が発見されました。アメリカの心理学者バラス・スキナーはレスポンデント条件づけに対してオペラント条件づけという条件づけを発見し、これが行動主義心理学を発展させました。行動主義心理学はフロイトの精神分析学とは全く違ったアプローチで、動物実験を特に重視しました。行動主義心理学と第一世代の行動療法の弱点
報酬と罰を与えて行動を矯正してしまおうという行動療法は、条件づけについての理論を用いて構築されました。ところが行動主義心理学には以下のような弱点があります。・動物実験によってモデル化された行動理論のため、人間の行動を想定しているとは言えない部分がある
・心的状態を考慮しない点で人間は行動する機械だと考えている節がある
・治療者と患者の関係などをほとんど考慮しない
上記のような弱点に対処していく試みは行動療法以外でもなされてきましたが、アーロン・ベックが提唱した認知療法を現実の精神療法に適用させていく段階でアルバート・バンデューラなどの心理学者が現れ、認知行動療法という複合的な視点をもった治療法が確立されていくこととなります。
第一世代の行動療法のまとめ
動物実験をベースとした学習理論を用いて確立された精神療法が行動療法です。理論化が簡単でモデルが構築しやすく、効果を発揮した治療法もありましたが、全体的に人間の心の内的状態を無視したものが多いため、有効な治療法とはなりませんでした。以上、読んでいただき、ありがとうございました。