人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

近代哲学の諸流派 イギリス経験論1 ジョン・ロック

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。明日でもう休みですねー。時間が経つのははやく、有意義な1日が過ごせるととくにそう感じますね。通勤にもなれてきて、だいぶ楽しくなってきました。淀屋橋駅あたりは昼間を食べるところが多く、それだけでテンションが上がります。

前回はデカルトについてまとめてみました。以下が記事のリンクです。


まだ読んでみてない方は是非読んでみてみましょー!デカルトはなんだかんだいって西洋哲学の重要人物です。デカルトなくしてカントは語れずです。基礎中の基礎がデカルトなので、デカルトをわかっていないままだと、ちょっとまずいので、見直ししておきましょうね。

今日のお話は近代哲学の大きな流派であるイギリス経験論の哲学者、ジョン・ロックが中心です。イギリス経験論とは何かの説明の後、ロックの生涯と解説を行います。

イギリス経験論の流れ

イギリス経験論の哲学者として取り上げるのは、ジョン・ロックバークリーヒュームの3人です。この3人は重要人物なのでしっかり解説したいと思います。

経験論とは認識の源泉を経験に求める考え方です。イギリス経験論において、経験とは感覚であり、すべての観念は経験に由来すると説きました。唯物論や実証主義も経験論から生まれました。推論法として帰納法を重視します。

経験論の対義語は合理論です。合理論はデカルトにはじまり、ライプニッツやスピノザに継承されます。

哲学史上この経験論と合理論の二つの流れのそれぞれの弱点を克服したのがイマヌエル・カントの哲学です。今は深く立ち入りませんが、カントは経験論と合理論の両方の課題を同時に乗り越えた哲学者だと覚えておいてください。

ロックの生涯

イギリス経験論の代表的な哲学者であると同時に、政治学者であるロック。彼はどんな生涯を送ったのでしょうか。

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name=”AbTS0″>ジョン・ロック(1632-1704)はピューリタンの家庭に生まれました。オックスフォード大学で哲学と医学を学びました。ホイッグ党の指導者アシュリーに仕えました。ロックは専制政治を批判し、民主主義を理想とする統治論』(『市民政府二論』)を書きました。その後オランダに亡命し、『人間知性論』を完成させました。名誉革命後、ロックは政府の役職につきました。名誉革命期の代表的な著作家・思想家としても知られています。実験家としての側面もあり、冬場にどのくらい肉を保存できるかの実験を行い、腐った肉を食べて体調を崩し亡くなりました。

タブラ=ラサ(白紙)

経験論哲学の代表的論者であるロックは、人間は生まれた状態では白紙(タブラ=ラサ)の状態であって、何事か経験して観念などが生じると考えました。この白紙という状態の存在を主張することで、デカルトなどが前提とする生得観念(せいとくかんねん)を明確に否定しました。観念の原因となる物の性質には、客観的な第一性質(形・大きさなど)と主観的な第二性質(色・香・味など)とを区別しました。経験論というと感覚を大事にする考え方のように捉えられることがありますが、実際ロックは客観性を重視しており、その点で単なる経験論者としての評価だけではなく、理性論者として扱われることも多いです。

宗教についての寛容思想

ロックは『寛容論』(『寛容書簡』)の著者としても知られます。1689年に発刊された本書によると、宗教的な信仰は外部の圧力によって強制されたり、干渉されたりするのではなく、人は他者の信仰に寛容であることが大切だと指摘しています。そして真理は力によって強制されるものではなく、議論などによる説得を通じて広められるべきものだとも考えました。

『統治論』

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name=”ePs6H”>政治哲学の名著であり、社会契約説の立場から書かれた理想の政府(国家)のあり方を語ろうとした著作です。ロックは私的所有権を政府に信託した権力は政府が濫用しない限り、有効だと考えました。ところがロックは権力を濫用した政府に対しては、人民が抵抗する権利(抵抗権)があることを説きました。抵抗権のなかには、人民のことを思わない政府を打倒すること権利、つまり革命権があることをロックは指摘しています。つまり、国の主権者は政府や国王ではなく、ただ人民にあることを説いたのです。この立場を人民主権と呼びます。間接民主主義である代議制、つまり選挙による議会の運営を通じて立法が行われ、さらに行政権連合権という三権分立が行われることが理想国家であることも説きました。

ロックの政治哲学書である『統治論』の哲学は、名誉革命後のホイッグ党を支持する人たちの哲学のベースとなっただけでなく、アメリカ独立宣言やフランス革命、とくにフランス人権宣言にも多大なる影響を与えました。

ロックのまとめ

こうしてロックの業績とか概念を見てみると、ホッブズの半世紀後の人とは思えないくらい近代的な考え方をしていたことがわかります。ロック自身は経験論者とみなされていましたが、理性により人間は平和な状態でやっていけることを信じている点で、理性主義者でもありました。素晴らしいですね、ロックの哲学。もちろん前提に神が人間を作ったから、人間は本来平等であって仲良くしないといけないっていうキリスト教的な考え方があってこそ、ロックはこうしたことを書けたわけではありますが、今でも説得力ある議論をしていると思います。ぜひあなたもロックの主著『統治論』など手に取って読んでみてください。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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