デュルケームの人と業績④『宗教生活の原初形態』
本書はオーストラリアのトーテム信仰に関するデータを用いながら、宗教の本質と宗教の起源および機能を論じたものである。
デュルケームによれば、宗教の本質はいっさいの自称を「聖」と「俗」の2つのカテゴリーに区分し、聖なるものにたいする信仰および行事に関する特別の社会集団を形成するところにあるという(聖俗二元論)。魔術は、上記の特別な社会集団を作る共同社会と信者の統合体を欠いている。
宗教は人々の共同生活を規制し、彼らに道徳的な価値基準を与えるゆえに(=社会的機能ゆえに)発生し、また存続した。デュルケームによれば神もまた社会の産物だという。