人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

宮崎市定『アジア史概説』緒論

 
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緒論
歴史の起源
・金属器使用の前後 国家成立(氏族団体[血縁]→国家体制)
・歴史の探求=考古学的、神話学的方法によっての吟味を加える必要
※遺跡=古代人の住居 神話=古代人の精神的遺物
国家と歴史
・真の歴史は国家の成立と共に認められる
国家の初期の段階=都市国家(都市国家による国家連合) やがて領土国家へ
1 都市国家群と外界との関係 2 国家内部における階級の対立 3 各都市国家群の対立問題
・歴史的民族の発生
民族と歴史
民族は歴史的環境(血脈・言語・宗教・風習等)によって定められる
・都市国家の解体の後、民族意識が高揚して領土国家として大きくなる場合
・原始的氏族団体から飛躍して、民族の集結・領土的大国家の成立にいたる場合 の2パターン
民族国家成立の二形態
A都市国家 ~愛国心の必要性
 都市国家の解体の後、求心力の強い個人主義と漠然とした世界主義・隣人愛が変わって発生
B氏族団体からの直接の飛躍 最初の民族的団結―活発な民族精神の躍動
古代史的発展と中世史的停頓
 古代史的発展→各民族が孤立より結合へ排他より妥協へ進む(EX ペルシャ・秦漢による統合) 小から大へ
 中世史的停頓→外部からの圧力により分裂の傾向を示す
※中世は政治的に適宜の小地区に分割されることにより、その内面生活を充実して近世史的展開に備えるための準備の時代
交通と歴史
 歴史の重要な要素→民族・土地・交通
外界との交通が競争を引き起こし、そのことにより文明が進歩
アジア史とは何か
 交通によって異なる文化圏は緊密に結び付けられており、アジア史を考察する必要が生まれる
 歴史の起源を尋ねることは、歴史がどこから始めるかを探すことと同義である。遺跡は古代人の生活様式を示し、神話は古代人による精神活動の産物である。両者ともに直接歴史を語るものではないが、史料が乏しい古代の生活を知る上では重要なものである。前者は考古学により、後者は神話学によりそれぞれ研究され、その成果を吟味する必要がある。
 国家の成立と歴史とは切り離せないものであり、また国家成立には二種類の過程がある。都市国家を経て民族的国家へと至る道と、氏族団体から飛躍して民族的国家へと道とがそれである。古代史は両者の交錯をもってより統合され発展していくのであるが、遊牧民族による外部からの圧力が古代史的発展を留め、中世史的停滞へと導く。とはいえ、中世は政治的に適宜の小地区に分割されることにより、その内面生活を充実して近世史的展開に備えるための準備の時代であり、この点で非常に重要なものであった。
 歴史を左右する重要な要素は 民族・土地であるが、ここに交通が加えられる。外界との交通が競争を引き起こし、そのために文明が進歩することが歴史の常である。アジア史を見ることは、日本史における郷土史を見るのと同じことであるが、互いに異なる文化圏は交通によって緊密に結びついているため、それらを考察する必要性が出てくる。

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