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仏によって救われる念仏を唱える|『お経で読む仏教』第6章『阿弥陀経』

 
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どうもこんばんは、高橋聡です。最近ゴールデンウィークに入って、お寺と神社巡りをちょこちょこしています。落ち着く場所に行くことができるっていいですね。

前回の内容

さて今回はまた前回から続いて、『お経で読む仏教』のミクロダイジェストをお送りします。今回で『お経で読む仏教』ミクロダイジェスト編は最終回となっております。全六回のブログ記事を以下にまとめておきますので、読んでいない方は読んでみてくださいね。

それでは内容に入っていきましょう。

『阿弥陀経』の力点が置かれた教え

『阿弥陀経』の教えの力点はどこに置かれているでしょうか。それは「すべての人が救われる」という大乗仏教の救済原理そのものが阿弥陀仏であり、同時にすべての受容原理である、という点です。大乗仏教の理想を理念化したものが阿弥陀仏だ、ということが言えるでしょう。

『阿弥陀経』という経典の特徴

『阿弥陀経』は、釈尊が特徴的な表現法で自らの思いを語る経典となっています。昔、法蔵菩薩という修行者が世自在王仏の弟子となって修行し、長い間思惟して悟りを開いて阿弥陀仏となったといいます。

『阿弥陀経』では西方にある極楽浄土に生まれかわると考えられていますが、日の入りをして夜へと移り変わる方角である西方は大きな生命へと帰って行く象徴として描き出されています。

『阿弥陀経』では次のようなことが説かれています。それぞれ宝石がその色で輝いているように、人間もまた自らの色で光ればいいし、各人がそれぞれの色で光っている世界が素晴らしいのです。

仏教の三宝と言えば仏法僧です。悟った人と、世界の真理と、そして修行者です。それぞれを心に思いとどめて瞑想実践の中で思い返すことをそれぞれ念仏・念法・念僧と元々は呼びました。

阿弥陀仏は「今現在説法」といって現在でも説法をしていると考えられています。すべての人を救うために法を説くことをやめません。

このようなさまざまな特徴を持つ経典が『阿弥陀経』です。そのなかでも一番大事なものが次の要素です。

当時者性|『阿弥陀経』の大きな特徴1

当事者性とはつまり、自分ごとにして『阿弥陀経』を読むと言うことです。他人ごとではなく、自分ごととして捉えて『阿弥陀経』を読むことで、自分自身の問題として救済があることを実感することができます。

煎じ詰めれば、仏教の経典、さらには他宗教の聖典・教典類というのは当時者性をもって読まないとほとんど意味がないでしょう。『阿弥陀経』はその中でも書いてある事実より、語りかけてくる内容に耳を傾ける姿勢がないと嘘が書いてある経典だというに終わるでしょう。

自分が本当に当てはまるかどうかを吟味しながら読むことで、『阿弥陀経』により救いが訪れる、ということです。

現在性|『阿弥陀経』の大きな特徴2

今現在説法の話をしましたが、『阿弥陀経』は時代が離れていても常に人を救済する力を持つ経典です。ひとつは今自分がどういう生き方をしていて、それでよいのかを判断する経典として『阿弥陀経』が使えるということが言えるでしょう。

さらに今、苦しい状況におかれているときに効力を発揮するのが『阿弥陀経』です。阿弥陀仏はまずすべてを受容し、そして救済するのです。あるがままの自分でいい、苦しんでる自分を包摂してくれます。

普遍性|『阿弥陀経』の大きな特徴3

『阿弥陀経』の普遍性とは一体どういう意味でしょうか。それは人間はいつの時代も、助けてほしいと思いつつも独りよがりに生きざるをえない人が多いのです。

『阿弥陀経』はすべての人を救う阿弥陀仏のことが書かれた経典です。すべての人を救う、一人も取り残さないというのは、どの社会でも問題となる考え方だと思います。でも理念としてそう語り、実際に人々を救うことに『阿弥陀経』はなります。

念仏|『阿弥陀経』と称名念仏

もともと念仏とは、心の中で念じて唱える念仏(観想念仏、という)という意味で使われていました。中国の善導和尚がこれを声に出して読む称名念仏だと考えてから、徐々に声に出して六字の名号(南無阿弥陀仏)を唱えることが念仏だと考えられていくようになりました。

自分で助かるという自力という考え方と、阿弥陀仏に助けていただく他力という考え方が二つあり、それぞれ難行道と易行道、聖道門と浄土門という分類をすることも多いです。

仏に任せるからこそ、私は救われる。悪人だからこそ救われる。自己の無力感を自覚しているからこそ、他者の救済が必要になる。そうしたことが日本の浄土教で唱えられた考え方となります。

以上、今回は『阿弥陀経』についてみてきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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