人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

「デューイの考えた理想の教育」|ジョン・デューイ『経験と教育』を釣鐘じっくり読書会で読んで

2024/09/01
 
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挨拶と釣鐘じっくり読書会

どうもこんばんは、さとやんと申します。

ちょっと前から釣鐘じっくり読書会に参加させていただいています。

1冊目は野中郁次郎先生の『ワイズ・カンパニー』、
2冊目はセンゲの『学習する組織』を読んできた
釣鐘じっくり読書会でしたが、
今回取り上げる3冊目はアメリカのプラグマティストで
教育者であるジョン・デューイが書いた
『経験と教育』という本です。

ここでデューイが本書で伝えたかったであろうメッセージを
ぼくなりに自分の解釈に寄せて、
記していきたいと思います。

全く私見を述べたものですが、
本書の受け捉え方の一例となって参考になる部分もあるかもしれません。

デューイの主張

デューイは本書で何を言いたかったのでしょうか。

この本ではさまざまな教育上での懸念点を取り上げられ、
かなり慎重に、それらを検討していきます。

ただしデューイはそれらの答えを直接われわれに示してくれるわけではありません。

つまり本書全体を通して、
問題点がどこかは触れているんですけども、
その問題点の考察はデューイをやってくれているのを参考にして、
教育者それぞれが自分なりの結論を出しなさい、
というのが本書の特徴といっていいでしょう。

直接的に答えを明示せず、
間接的に遠回りかもしれないけど、
それぞれが考えるのが一番大事だ、
とデューイは考えていたのではないでしょうか

まず、教育者、つまり教師となる人が能動的に考えて
授業計画や教材、生徒のことなどを考慮して授業をしないといけない、
とデューイは言っています。

これは当然ですが、
かといって用意した授業計画のまま進めるだけじゃなくて、
生徒などの反応を見ながら
臨機応変に伝える方法や内容を変えることもまた大事だ、
とデューイはいいます。

教師は能動的に考えないといけないが、
そこで立てた計画に無理にはやめようとしすぎて
生徒をおろそかにしてはいけない、とデューイはいうのです。

むしろ計画通り行かずに、
求めていることは常に生徒たちの環境や家族構成によって
変わるかもしれません

全く関係ないことを言い続けてももちろんだめですが、
本筋をずれない程度でそうしたクラスの環境で
求められるべき最善のことはなにか、
ということを常に考えながら授業に臨むのが大事です。

教師が生徒に受動的な教育を与えることを続けていくと、
生徒はそれをこなすだけの存在になってしまうでしょう。

能動性の押しつけはよくないわけです。

だからこそそのときどきに最も適した授業を提供することが大事になるのです。

そうしたことも含めて、教師は常に生徒たちのことを考えて、授業を行う必要があるのです。

自分のために、
たとえば自分の人気や評価のために、
授業を考えたりするのは邪道なのです。

本当の教師は、
生徒の過去、現在、未来をすべて総合的に勘案して、
その生徒たちが最も能動的に学ぶことのできる環境をつくることが責務だ、
とデューイは言いたいんだと思います。

これは言うことは簡単にできるけれども、実行するのはむずかしいことでしょう。

しかし教師は常にこうしたことを志向して教育現場に臨む必要があるのは確かでしょう。

デューイは序文で”教育哲学の役割を定式化することが緊要な課題となってくる”と言っております。

この本は、具体的な方法についての定式化には一切触れてはいないのです。

なぜでしょうか。

それはデューイ自身が教育者たちにこれらの考えを用意するのではなく、
教育者が能動的に自分自身で考える機会をぜひもってほしいから、
答えを与えたりすることは決してしないのでしょう。

仮に正しいものであっても、
与えられた答えに主体的な教育を行う取り組みや姿勢は全くありません。

だからこそ、デューイは教育上の課題や懸念点は伝えますが、
具体的な解決策については一切触れないのです。

行ってみれば、
本書は教育と教育哲学についての分解されたフレームワークであり、
教師はそのフレームワークを自分で組み立てて教育の土台としないといけないのでしょう。

主体的な学びは人を成長させます。

デューイが意図するように、
体的に教育を用意する教育者と主体的に学びを受ける経験をする生徒がそろったとき、
デューイの考える真の教育は果たされるのでしょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋





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