社会学について17〜ギデンズの二重の解釈学
2018/03/09
どうも哲学エヴァンジェリスト高橋 聡です。今日はイギリスの社会学者ギデンズについて考えましょう。
ギデンズの二重の解釈学
アンソニー・ギデンズはイギリスの社会学者でレスター大学やケンブリッジ大学で教えました。ギデンズはパーソンズの構造・機能主義には反対しますが、それを批判する現象学的社会学やエスノメソドロジーにも組せず、両者を統合した独自の社会学を展開しています。構造化論
ギデンズの考える「構造」とは行為の条件であるとともに、行為の帰結となっているものです。たとえな規範は構造の一つとされるが、デュルケムのいうように「個人の外」にあるものではありません。規範は個人が規範を守ることで社会的に存続しているわけですから、守られるという行為そのものが社会的な構造として存在する根拠になっています。ある種の規範が古い因習だとして守られなくなったら、規範としての拘束力もなくなります。さて規範が守られるということをもう少し見てみると、規範がなければ行為が生じないのだから、規範はその行為の条件になっています。しかし規範は守られなければならないですから、その行為の帰結ということもできます。ある国で「こんにちは」と挨拶することが規範だったら、「こんにちは」ということが、その挨拶の条件であり、帰結でもあります。
このようにして構造は社会的過程を通じて再生産(存続)されますが、この進行形で構造を表現したものが構造化です。
二重の解釈学
ギデンズは行為の意味づけには行為者同士で行う意味づけと社会学者の行う意味づけの二つのレベルが存在しているという二重の解釈学を提示しました。たとえば結婚は当事者同士にとっては恋愛の結果でしょうが、社会的に見れば家族と人口生産活動とも解釈できます。つまり当事者たちが主体的に行動した結果、社会の構造が再生産されるわけですが、一方で社会的に見て結婚が求められます。このように行為が構造を生み出す面と構造が行為を規定する面があることを構造と行為の二重性と考えました。
モダニティ論
ギデンズは現代社会では自分お生き方を具体化する機会が広がる一方で能動的に自分自身を組織し、自分のアイデンティティを構築していけなければならなくなったと言います。家柄や職業、年齢に縛られることなく恋愛ができるし、自由に人と人がが交流することもできるようになりましたが、その分掛け値なしの自分を晒して、相互の結びつきを得るものがなくなれば別れるというような流動的な関係が生まれているというのです。このような人と人のあり方をギデンズは純粋な関係と呼んでいます。自己のアイデンティティを常に保ちながら自分とは何者かを問い続けなければいけないリスクを負った社会ではありますが、ギデンズは純粋な関係を支える新しい対等で自由な社会が到来するとい楽観的な見方もします。
モダニティとは近代的な諸原理や諸特性のことです。