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ドラッカーが『マネジメント』を書くうえでもっとも重視した人間の幸福とは

 
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どうも哲学エヴァンジェリスト高橋聡です。梅雨のきせつになっちゃいましたが、暑さと湿気に負けずに過ごしていきましょう。

今日は『ドラッカー「マネジメント」』(NHK出版、上田淳生著、100分で名著ブックス)を読んだ書評を書こうと思っています。あなたはドラッカーという経済思想家をご存じですか。ぼくはこの書を読むまで名前を聞いたことはあれど、何を考えて何をいったことがあるのか全く知りませんでした。とにかくすごい人だ、ということをここでは言うにとどめてい置きます。ではさっそく書評に入りましょう。

 

ドラッカーという人への勝手な憶測

ドラッカーについて全く知りませんでした。いわば名前こそ聞いたことあれど無知です。勝手なイメージですが、ドラッカーは金儲けのための組織の効率的な運営方法とか管理方法を延々と書いている人なのかと心のどこかで思っていました。人を効率的につかって、組織のためにどう生かすか、そういうことを考えている人のイメージです。あなたもそういうイメージをお持ちではありませんか?

こうしたイメージは良い意味で裏切られることになります。さっそく内容を見ていきましょう。

本書の内容

ドラッカー思想の軸にある「本当の人間の幸せ」

ドラッカーは本当の人間の幸せを追求するために、マネジメントを作り上げた、と最初の方に出てきます。

どういうことでしょうか。本当の幸せは人を感動させるものです。どうしたところに人が感動を覚えるのか。人が組織で働きながら、自己実現を果たして満足感を覚えることで感動を覚えることができる、とドラッカーは考えるのです。そして、そのために組織をちゃんと働き甲斐のあるものにしなければなりません。決して私利私欲の金儲けのためにあるのではなく、従業員と顧客、そして社会のために組織や企業は存在する、そしてその組織や企業を良いものにするのはずばりマネジメントだというわけです。

素晴らしい理想論のようにも聞こえますが、ドラッカーが最も偉大だったのは、組織や企業のマネジメントの先に常に人々の幸せや社会の在り方を置いて考えていた点と、その理想を実現するために残した功績です。

ドラッカー思想の背景

ドラッカーは第一次世界大戦の終了直前に生まれ、第一次世界大戦と第二次世界大戦との間の戦間期に育ちました。この時代は激動の時代でした。

ドラッカーは自分自身をソーシャルエコロジスト=社会生態学者と自称しました。ソーシャルエコロジストとは、社会の変化をみて、その変化がどのような変化かを見極めて、その変化について伝える人のことです。

ドラッカーが青年期に読んだ書籍の中で、2冊の大きな影響を受けた本があります。

ひとつは、イギリスの政治理論家エドマンド・バークの著書『フランス革命についての省察』という本です。正統保守主義(コンサーバティズム)という考え方をこの本から学びました。コンサーバティズムとは理性への過信を警戒する考え方です。

もうひとつは、ドイツの社会学者フェルディナンド・テンニースの著作『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』という本です。人に位置づけを与えるコミュニティと役割を与える社会の二つが必要だというテンニースの考え方に共感しました。

ドラッカーが生まれ育った時代は第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の戦間期だといいました。この時代、資本主義と民主主義とどちらにも希望を見出せなくなった人々は自分たちを幸せにしてくれる「イズム」(主義)を見つけられなかったのです。そんなときにあらわれたのがまさにヒトラーのファシズム(全体主義)でした。

ドラッカーはそんな中、資本主義と社会主義はなぜ人間を幸せにできなかったかを考察しました。そしてそのどちらの社会システムも経済至上主義を基本にしたので人々を幸せにできなかったのだと結論付けました。そしてファシズム、全体主義の本質は脱経済至上主義にあると見ました。しかし当然ファシズムや全体主義の考え方ですべての人が幸せになることはできません。(第一作『経済人の終わり』)

さらに人が幸せになれる組織運営を行なうことが、結果的によい社会をつくるとドラッカーは考えました。そのためにマネジメントは必要だと考え、本当の脱経済至上主義を果たすにはマネジメントを行う必要があると考えたのです。(第二作『産業人の未来』)

筆者の上田氏は次のように指摘します。

つまり『マネジメント』は、経営学の本というよりも、人間を感動させ、幸せに導くために書かれた本と言っていいのかもしれません。(p36)

私もその通りだと感じます。

 

人こそ資産

ドラッカーはマネジメントの三つの役割を挙げています。

  1. 「自らの組織に特有の使命を果たす」
  2. 「仕事を通じて働く人たちを生かす」
  3. 「社会の問題について貢献する」

以上の三つです。

1つめは会社をやるべき仕事を達成する方向に導くことこそ、マネジメントの役割だということでしょう。会社の使命である業務に全力を注ぐということです。

2つめは、従業員の得意となる分野をみつけてその分野の能力を育てることです。さらに、安全に働けるようにすることも含みます。

3つめは、会社は社会のためにある、ということです。

ドラッカーのマネジメントの柱は、「顧客」と「従業員」にあります。顧客の求めていることを知り、その求めていることを提供することこそ企業のなすことである、とドラッカーは指摘します。さらに働く人々が幸せや生きがいを見出すことも大事だといいます。

ちなみにドラッカーは利益を会社の目的にしてはならないといいます。利益はあくまでその企業や組織の継続条件であり、かつコストであると断言しています。これはドラッカーの脱経済至上主義が最も現れた部分でしょう。

 

人を生かすマネジャー

そう、それぞれの専門家たちの知識や能力をうまく繋げて、組織全体の「成果」に結び付けていくのが、マネージャーの仕事です。(p72)

コストより多くのものを生み出すのがマネジャーの仕事だとドラッカーはいいます。そしてマネジャーに最も必要なのは才能ではなく真摯さでもあるといいます。真摯さは人生は生きるうえでもとても重要なものかと思います。
マネジャーに必要な4つのスキルが挙げられています。

  1. 意思決定
  2. コミュニケーション
  3. 管理
  4. 経営科学

この4つのスキルです。
このうち、コミュニケーションとは人を動かす能力のことです。管理とは仕事の成果を測定して、目標をどうクリアしたかを検証し、問題点を修正する作業を行う能力です。
マネジメントを学ぶべき人は、上に立つひとだけなのでしょうか。ドラッカーは違う、と断言します。マネジメントは組織で働くすべての人が学ぶべきものであるというのです。
ドラッカーが人の能力のなかで特に重視するのは、強みを生かし、伸ばすことです。マネジャーも部下の強みを見つけだし、その強みを業務で生かし、伸ばす必要があるといいます。

 

本書を読んだ後のドラッカーの印象

ドラッカーのイメージが一変しました!人の本当の幸せのために社会に必要なのは脱経済至上主義で、それを実現するためにマネジメントを考えだしたっていうのはとても新鮮です。そんな学問の創始者などいるでしょうか?

経済哲学者といってもいいほど、深い洞察も多々あります。教育で人の弱みを克服するのではなく、強みを生かして伸ばすことを重視したり、利益を目的にしてはならないとかとてもいいことをドラッカーは言ってますよね。

いや、ぜひあなたにも本書やドラッカーの著作『マネジメント』を読んでいただきたいですね。

 

本書を読んだ後に私が行動すること

箇条書きで挙げます。

  • 自分の強みをより伸ばす方向の学びと実践を行う
  • ドラッカーの著作『マネジメント』を完読する
  • 全体を見てマネジメントに書いてあることを実践する

以上です。

 

最後に

名著です。ドラッカーの人生についてもわかるし、どうしてドラッカーがマネジメントを必要としたかもわかるし、ドラッカー思想の概略をとてもわかりやすく説明しています。よりよい社会を実現するうえで、ドラッカーの考え方は役立つ部分も多いと直感できます。

あなたもぜひ、本書を読んでみましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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