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どうも哲学エバンジェリスト高橋 聡です。2019年になって初めての投稿となります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

前回は山竹伸二著『本当にわかる哲学』についての書評を書きました。まだお読みになっていないなら、是非読んでみましょう。

今回は茂木誠著『世界史を動かした思想家たちの格闘』(以下、『思想家たちの格闘』)という本についてみていきたいと思います。

Twitterでの要約

茂木誠さんは駿台予備校の世界史科講師です。哲学者が生きた歴史的な背景というのは、その思想の土壌といっていいものなので、とても大事。ところが日本の哲学史の本などはあまり歴史的背景に触れないでいることが多いのです。

この『思想家たちの格闘』を読んでいても面白いところがたくさんありますが、とりわけ歴史的な事実や歴史的なつながりに関して説明しているところが一番面白いところです。

『思想家たちの格闘』は哲学のテーマ史といった内容を独自の切り口で語る、と書いていますがそれはどういうことでしょう。さっそくみていきましょう。

『思想家たちの格闘』の構成

哲学のテーマ史といっても、歴史順に物事を見ている通史的記述ではありません。現代から過去へ、過去から現代へと時にダイナミックに視点を動かしているのが特徴です。全体的には1日目から4日目までの4つのテーマがあります。

  1. 「法と正義」
  2. 「戦争と平和」
  3. 「理性と感情」
  4. 「『わたし』と世界」

この四つについて語られています。よくある哲学史の本では、たとえば1についてはソクラテスの刑死を例に出して、ソクラテス個人の正義とアテナイ国家の法は明らかに対立していた、だから法と正義は対立することもある、などと書かれることがあります。もちろん『思想家たちの格闘』もそのことにも触れてはいますが、書き出しはそこではありません。

アイヒマン裁判

一番初めの小見出しは「アイヒマンは有罪か?」なのです。

そして最初に来る本文はこうです。

「法と正義は常に正しい」。これって本当でしょうか?

アイヒマンといえば、ナチスドイツで国家保安本部のユダヤ人担当課長を務めた人物です。ユダヤ人虐殺に関わり、いわばナチスの大戦犯というべき人物。

このアイヒマンをイスラエルの諜報機関が捕らえて、公開裁判を行いました。それがアイヒマン裁判です。

このアイヒマン裁判で、アイヒマンは「わたしは法に従って行動したのみ」である趣旨の発言をします。このアイヒマン裁判の事例では、ナチスドイツの法に従っただけの人間が、どのような根拠で裁かれるべきなのか。イスラエルはここでは超法規的な正義を持ち出して裁くわけです。

このアイヒマンの行動の問題点は、法に従って行動することが正義に反しても、法に従って行動すべきなのか、という点です。

オラニエ公ウィレムの例

逆に正義を優先し、国家の法に違反して行動する人物も歴史上にはたくさんいます。スペインの大量虐殺命令に従わずに抵抗したオラニエ公ウィレムの例がここでは挙げられます。

法と正義は常に正しいわけではない

この二つの事例をみると、法と正義のどちらも一致して正しいわけではないことがすぐにわかります。だから遵法(法を守り、常に従うこと)の精神はある程度の平和には必要なのは確かなのですが、遵法の精神だけでは法が明らかに間違った方向に向いているときに、その間違いを助長させることになってしまいます。だから、法にしろ、他人が語る正義にしろ、どちらもその根拠を見極め、時には疑う必要があるのです。

ちなみに、このアイヒマン裁判と関わりが深い哲学者がユダヤ人女性哲学者ハンナ・アーレントです。

常識を疑え、とはいいますがそのためにはたくさんの判断材料を自分で知っておく必要があります。『思想家たちの格闘』はその意味でも役立つでしょう。

『思想家たちの格闘』を読む前に思っていたこと

哲学が歴史に与えた影響、逆に歴史が哲学に与えた影響があるのは、漠然と理解しているだけでした。

『思想家たちの格闘』を読んで変化したこと

変化した点

  • もっと哲学と歴史との関係をみて、哲学を見てみようと思ったこと
  • 哲学や思想の成果物ともいえる、成文法や慣習法も読む必要性を感じたこと

行動すること

  • 軽視していた人権関係の書物を読むこと

まとめ

『思想家たちの格闘』を読んで、歴史的な流れと思想的な流れはおおまかで一致することを改めて確認できました。独特な切り口は他の哲学史の本とは違った視点で書かれているので、おもしろい部分がたくさんあります。是非あなたも読んでみてくださいね。

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