人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

ドイツ観念論の哲学2 ヘーゲル1

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。今日はぼくの住む和泉市で大きな山火事がありました。おそらく出火はスクラップ屋からです。夜になった今も火が燃えているのが見えているので、消防の皆さんは賢明に作業してくださっているでしょう。火事って怖いですよね。天災も怖いけど、火事もあの火の勢いをみたらこわいなと改めて思いました。普段火事など経験しないので、その当たり前がなんとも幸福なことを感じておりました。


前回のおさらい

さて前回はドイツ観念論の哲学ということでフィヒテとシェリングについてみてきました。以下がリンクです。



読んでない方はぜひよんでみてくださいね。


ヘーゲルについて

ドイツ観念論の完成者ヘーゲル(1770-1831)。ヘーゲルも実は高校倫理ではカントほどではないですが、用語が多い人物の一人です。でもヘーゲルの用語のほうがまだ理解しやすい気がします。ヘーゲルの初回となる今回はヘーゲルの生涯と人物、思想についてみていきたいと思います。


ヘーゲルの生涯

南ドイツのシュツットガルトに生まれ、18歳でチュービンゲン大学の神学部に入学して、哲学と神学を学びました。そこでヘルダーリンやシェリングと親交を結んで、フランス革命がはじまって時には「自由の樹」を植えて、祝ったといわれています。

卒業後は各地で家庭教師をつとめました。イエナ大学で教え、シェリングとともに『哲学批判雑誌』を発行しました。1807年に主著『精神現象学』を出版して、シェリングとは決別します。『精神現象学』でヘーゲルは世界を精神の自己展開の過程とみる独自の哲学を築きました。同じ年にナポレオンがイエナに進行してきます。そのさい、「馬の上に乗っている世界精神をみた」と語り、歴史を動かす精神を目の当たりにしました。戦争で大学が閉鎖され、ニュルンベルクのギムナジウムの校長を務めたのち、ハイデルベルク大学、ベルリン大学に招かれて哲学を講義しました。ベルリン大学では総長を務めました。ヘーゲルの哲学は当時のドイツの思想界で大きな影響力を持っていて、ヘーゲル学派が形成されました。


ヘーゲルの思想概論

へ0-ゲルは世界を絶対者である精神の自己展開の過程であるとした絶対的観念論を説きました。精神はあるものが生成し(正)、それと対立するものが現れます(反)。その後、両者がより高い立場へと統合されます(合)。この正→反→合の過程を繰り返して真理を大きくする方法を弁証法と呼びます。この弁証法の論理に従って、歴史は展開されるのだ、とヘーゲルは言います。

精神は自覚たる自由を本質とします。歴史は精神が自由を実現する過程であり、人類の自由の意識の進歩であるといいます。ヘーゲルの哲学体系はすべて弁証法的に構成されています。論理学・自然哲学・精神哲学の三部門、精神哲学は主観的精神・客観的精神・絶対精神の三つの段階に分けられます。

このうち、客観的精神は客観的な社会関係を形成します。この客観的精神もはじめが法、次に道徳、さらに人倫と三つに分けられます。客観的な法と主観的な道徳の統一として人倫がある、とヘーゲルは説きます。

人倫は社会生活の基盤となる共同体のことです。家族・市民社会・国家へと弁証法的に発展します。理性的な国家が人倫の最終形態であって、個人は国家の法や制度を自分の根源である理性の表現と自覚することで、国家の成員して自由になるのだ、というのです。

ヘーゲルの哲学はドイツ観念論の完成、近代哲学の総決算として大きな影響を与えました。弁証法はマルクス主義の唯物論的な史的弁証法に継承されました。

主著は『精神現象学』『法の哲学』『論理学』『エンチクロペディー』『歴史哲学』です。

以上、ヘーゲルの概論をみてきました。ヘーゲルの記事の次回の記事は、用語解説になると思います。そのあとにヘーゲル思想のまとめをしていきます。それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

火の手がすこしずつおさまるのを窓越しにながめながらたかはしさとししるす

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