人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

ドイツ観念論の哲学1 フィヒテとシェリング

2021/05/13
 
この記事を書いている人 - WRITER -
哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
詳しいプロフィールはこちら

どうもこんばんは、たかはしさとしです。本日は会社の偉い人が来てたので、一緒にご飯を食べにいきました。PCマニアとして話題が合い、割と話題が盛り上がった感じです。PC9821には80486SXが積んであったとか、MSXがどうかとか、そういう話は分かる人しか分かりません。

さて、今日はドイツ観念論の思想についてみていきましょう。カントの批判哲学のあとに登場したのが、ドイツ観念論の哲学となります。別名ドイツ理想主義哲学といいます。

カントのことは前回までみてきました。前回はカントのまとめ記事。以下のリンクから飛べます。



まだ読んでみない方はぜひよんでみてくださいね。


ドイツ観念論の概要

ドイツ観念論はカントのあとに出てきた哲学で、代表的な論者はフィヒテ・シェリング・ヘーゲルです。今回は前の二人、フィヒテとシェリングを紹介することになります。ところが高校倫理ではこの二人はカントと比べたら著しく言及が少ないのです。なので注目度は低いですね。でも、重要な思想なので一応みてあげてくださいね。

フィヒテとシェリングに入るまえに、ドイツ観念論の流れというものを考えてみましょう。カントが理性の認識が客観的な世界を作り出すといったとき、それが主観的な観念論に誤解されたのです。カント自身のことばでいえば、コペルニクス的転回とはまさしく超越論的な観念論だったのですが、その主張を当時の人は理解できませんでした。とにかく世界の根源に精神的なものが実在するという立場が観念論と呼ばれる立場です。観念論は、すべての現実的なものの基底に精神的な実在があり、その精神的なものは理念にほかならないとして、自然や歴史を通じて世界に具現化すると考えられたのでした。理性を自覚の契機として、精神的実在が自己を展開するという点に、ドイツ観念論の特徴があります。


フィヒテの思想

カントの後を受けて登場したドイツ観念論の第一の哲学者、それがフィヒテです。貧困の中で勉学を続けてカント哲学を学んだ後、イエナ大学で教鞭にたち、のちベルリン大学の初代総長となりました。カントの哲学から出発しましたが、シュトゥルム=ウント=ドラング(疾風怒濤/ゲーテやシラーを中心とするドイツの文学的運動)に影響をうけて、自我の自由な意志の動きを強調する絶対自我の哲学を確立しました。カントの二元論を克服するために、自我の実践的活動の中に認識を吸収して一元論を打ち立てようとしました。その特徴は自我の意志作用を強調する主観的観念論です。さらに歴史は人間の道徳的自由の実現の過程だと考えました。主著は『全知識学の基礎』『ブルーノ』『ドイツ国民に告ぐ』。ぼくは大概の有名な哲学者の邦訳本をもっていますが、フィヒテは一冊もありません。今、日本語でフィヒテを読むのは難しいのが現状ですね。全集は刊行中ではあるんですが、高いですしね。


シェリングの思想

ドイツ観念論第二の哲学者、シェリング。チュービンゲンの神学校でヘルダーリンやヘーゲルと親交を結び、イエナ大学などで教えました。ロマン派の芸術家とも交際していました。シェリングは哲学における自然と精神の二元的対立を統一するために、すべてを包括する絶対者をもとめる客観的観念論の立場に立ちました。そしてすべてのものの根底に存在する無差別な同一性こそ絶対者であるとする同一哲学を確立しました。そして絶対者は自然を観照する際の知的直観によって把握できるとする芸術哲学を重視しました。その自然観はスピノザ的な汎神論的自然観を示し、それゆえシェリングの思想は新スピノザ主義と呼ばれることもあります。晩年は本質ではなく、ものの現実存在を探究する積極哲学を説きました。積極哲学は、キルケゴールやマルクスに大きな影響を与えたといわれています。主著『超越論的観念論の体系』『人間的自由の本質』。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

たかはしさとししるす

この記事を書いている人 - WRITER -
哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© ニーチェマニア! , 2020 All Rights Reserved.