人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

近代哲学の入り口/考えることを考えた哲人2 ルネ・デカルト

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。日々仕事が楽しいです。新しい仕事でいろんな事実と出会うことができるのも本当にいいことですよね。新しい経験を積むことで仕事ができる実感があるって幸せです!

前回はイギリス経験論の創始者フランシス・ベーコンの哲学について特徴を見ていきました。記事のリンクを下に貼っておくので、見てない人は読んでから今回の記事読んでくださいな。



ベーコンの次の今回は、ついにあのフランスの哲学者にして近代哲学の父、ルネ・デカルトを今日は取り上げます。哲学といえばデカルト。デカルトといえば哲学というくらい有名な人ですね。さっそくみていきましょー。


デカルトの生涯

まずはデカルトの生涯について見ていきましょう。ルネ・デカルト(1596-1660)はフランスの哲学者で、合理論の創始者として知られています。近代哲学の父ともいわれることがあります。少年時代イエズス会の学校に入り、信仰と理性は調和するというスコラ哲学をならいましたが、のちに数学を中心とする実用的な学問を特に好みました。徐々にスコラ哲学や神学に疑問をもちはじめました。大学を卒業後、オランダで軍隊に入隊します。書物を捨てて世間という大きな書物に学ぶためだった、とのちにデカルトは『方法序説』にて回想しています。その後、著作を残す活動を行います。主著は『省察』『哲学原理』。晩年、スウェーデンのヴァーサ朝の女王で、グスタフ=アドルフの娘であるクリスティーナにスウェーデンに招待されました。冬場にスウェーデンに向かったデカルトは、女王のために毎日講義を行います。その結果新教国(プロテスタント国)の女王をカトリックに改宗させることに寄与しますが、体調を崩してスウェーデンで死去しました。


name="QcwPB">デカルトについてすべて語るのは難しいので、デカルトにまつわる4つの大事なキーワードを設定して、そちらを解説することにいたしましょう。

合理論

デカルトを説明するキーワード第一が合理論です。合理論とは理性による思考から、確実な知識を引き出すことができるという考え方です。特にフランスやドイツで発達したので大陸合理論と呼ばれることが多いです。推論法としては演繹法を重視します。演繹法とは、まず明らかな原理があって、そこから確実な知識や事実を導き出す思考法のことです。

デカルトは理性を重視します。真偽を判別する能力が理性ですが、デカルトは理性は良識(ボン=サンス)であると言っています。デカルトは良識こそ人類に平等に与えられたものだと考えました。生得的(生まれつき備えていること)に理性をもっている、と考えたのです。デカルトの哲学は明晰的な数学的な認識を重視していたため、人文科学系の知識は含みません。


方法的懐疑

デカルトのキーワード第二が方法的懐疑です。方法的懐疑とは、確実な真理を見つけるための方法として、あえて疑いぬくという態度のことです。方法的懐疑は懐疑論では決してありません。むしろ懐疑論が不十分な態度なため、中途半端にではなく、徹底的に懐疑を貫徹する方法をいいます。

デカルトは感覚的世界や数学的真理、哲学説、社会通念などあらゆる物事を疑い続けますが、最後に疑っている自分というものはいくら疑っても残るものだと考えて、それを哲学の第一原理に置きました。


name="cRONM">これが有名な「われ思う、ゆえにわれあり」(コギト=エルゴ=スム)という言葉です。デカルト哲学の根本原理であり、デカルトの考える明晰な哲学の基本的な命題です。考えるわれが存在する、という意味であり、近代的自我の萌芽でとても大事な考え方だと言われています。主観的な自己の発見とも言い換えることができるこの主体的な自己概念の自覚こそ、近代哲学の眠りを呼び起こしたものだといっていいでしょう。

4つの規則

真理にいたるための4つの準則(規則)がある、とデカルトは考えました。これが第三のキーワードです。

明証の規則…自分が明らかに真理であると認めたものだけを真理として受け入れること

分析の規則…問題を可能な限り細分化すること

総合の規則…もっとも単純で認識しやすいものから段階的にもっとも複雑なものへと秩序立てて導くこと

枚挙の規則…見落としがないように一つ一つ数え上げて完全列挙し、全体を見渡して検討すること

デカルトはこの4つの規則に従って問題を考えるべきだと考えました。


物心二元論

第四のキーワードは物心二元論心身二元論)です。主観と客観、心と物、意識と物体などの精神的な思惟を属性とする自我や精神と、空間的な広がりである延長を属性とする物体とを分けて考えることを物心二元論といいます。われの属する内部世界と、物体の属する外部世界とを分けて考えたため、機械論的自然観が形成されました。こうした物事のとらえ方は科学の発展をもたらしました。


デカルトの目指したところ

name="7qZ1W">このようにデカルトは哲学にとって重要な概念を数多くうちたてましたが、神の存在証明の準備のために哲学を準備したのです。デカルトはいろんな著書で神の存在証明が大事だと言っていますが、今日この部分はあまりみられることがありません。

デカルト・まとめ

デカルトの重要なキーワードである合理論、方法的懐疑とコギト、4つの規則、物心二元論と四つのキーワードを見てきました。流れを大体理解しておきましょうね。デカルトの果たした役割は哲学史において特に大きいものです。ライプニッツやスピノザの哲学にも影響を与え、それらはカントやドイツ観念論の哲学に引き継がれていきます。大陸の哲学のはじまりがデカルトだと言っても言い過ぎじゃないくらい、大事な人物なので何度も見直しましょう。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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