人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

古代ギリシアの理想主義者・プラトン|高校倫理

2021/05/19
 
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どうもこんばんは、高橋聡です。大阪は梅雨に入ってしまい、雨が多い時期に突入してしまいました。そしてジメジメした天気がいつまで続くのだろうと思いながら過ごす毎日ですね。

今週の土日は友人の結婚式のために東京に行くんです。こんな時期に新宿京王プラザホテルで結婚式を挙げるというなかなかのつわものがいまして、祝福のために駆けつけます。大学時代のドンパ(同期)や先輩・後輩ともお話できると思うので、楽しみにしておきます。

さて今回の記事ではプラトンについてみていきたいと思います。その前に前回の記事の復習から入りましょう。

前回の記事|よく生きることを考えたソクラテスの衝撃

前回は古代ギリシアで最も大事な哲学者ソクラテスについてみてきました。ソクラテスは自身も無知を自覚し、周りの青年たちにも無知の自覚を促し、真理に気づくのを助けて有名となりました。自然や社会についての真理を知るよりも、人間がいかに生きるべきかという生き方の原理、良い生き方とは何かを徹底して問い続けたのがソクラテスです。以下のリンクをたどって、ソクラテスの業績の特徴について考えてきましょう。

そして彼ソクラテスは処刑されるわけですが、これをまじかに見ていたプラトンがソクラテスの思想の継承者として現れるんです。

プラトン

プラトンは若いころソクラテスの弟子として活動していました。プラトンは大男で、将来は国家に仕えることを目指していましたが、28歳の時に師ソクラテスが民主制により処刑を言い渡され、それを受けたことにショックを受けます。その後、プラトンはアテナイ郊外にアカデメイアという学園を開いて、青年の教育を行いました。哲人王思想を抱き、シチリア島の王に哲人王教育を施すも哲人王政治は失敗しました。理想主義哲学の祖としてのちのヨーロッパで知られ、ヨーロッパ文明の成立に大きな影響をあたえました。そんなプラトンの主著は『ソクラテスの弁明』『国家』などがあります。

ソクラテスの継承者

ソクラテスは「正義とは何か」、ということを人々に問いかけました。プラトンはこの考え方を徹底させ、「~とは何か」という探求を発展させ、理論的回答をあたえようとしました。それが次に触れるイデア論です。

イデア

例えば「勇気とは何か」という問いは、勇気の本質をたずねています。具体的な行為の中にのみ、本来勇気は存在します。人間はそうした具体的な行為に現れる勇気に共通性を見つけてそれを勇気と名付けています。その具体的な行為を勇気ある行為にしている勇気そのものがプラトンは存在すると考え、その勇気そのもの(勇気の本質)勇気のイデア、とプラトンは呼びました。

イデアはイデア界に存在する

そうした個々の本質としてのイデアがたくさん存在します。三角形には三角形のイデアがあり、四角形には四角形のイデアがあって、正義には正義のイデアがあるのです。こうした今の人間からすると抽象化されたものであるイデアこそが、世界の本体だとプラトンは考えました。そしてこのイデアのみが存在する世界をイデア界(英知界)とプラトンは呼びました。

善のイデア

各イデアは善を持つとプラトンは考え、現象界のすべてはイデアを目指しているのだから、そのイデアが目指す善を最終的に目指すのだとプラトンは主張します。そしてイデアの中のイデアが善のイデアである、とプラトンは言います。

想起説

ではそのようなイデアを人間はどのように認識するのでしょうか。プラトンは人間は理性を介してイデアを認識する、と言います。人間の理性、あるいは魂のみが不死であって、もとは英知界にあったものですべてのイデアを認識していたのだが、肉体と一つになった際にイデアを忘れてしまったのが人間だ、というのです。

そしてその理性がイデア界をあこがれるようになります。この理性のイデア界へのあこがれをエロスと言います。そしてエロスにより理性がイデアを認識したときに、理性がかつて英知界で認識していたイデアを想起、思い出すのだ、とプラトンは主張しました。これを想起説と呼びます。

魂の三分説

プラトンは古代ギリシアの哲学で大事な概念となっていたプシュケー、つまり魂を三つの機能に分類しました。

  1. 魂の不死なる理性。真理の認識にかかわります。
  2. 魂のいずれ死す部分である気概(意志)。行為や決断にかかわります。
  3. 魂のいずれ死す部分である欲望。感覚や成道にかかわります。

四元徳

ものはすべて固有の卓越性をもっていて、ギリシアではそれを徳と呼びました。そして魂の徳とは何かを考えたときに、プラトンは四つの徳があるといいました。

  1. 理性の徳。つまりイデアを認識する知恵
  2. 気概の徳。つまり適切な行動をとる勇気
  3. 欲望の徳。つまり適切な欲求をコントロールする節制
  4. 上記三つの徳が調和して発言している状態である正義

理想国家論

ソクラテスが民主制の犠牲となることを28歳のときに目撃したプラトンは、哲学によって理想国家を探求し、実際に作ることを意図しました。その理想国家論の根拠となるのが魂の三分説です。各人の魂は三つの部分からなっており、人によってその機能の優れた部分は異なります。だからこそ、各人の優れた部分を活かすことが国家の発展につながり、正義を具現化するとプラトンは考えました。

つまり知恵にすぐれた理性的な人は統治階級としての哲人となり、勇気を発揮できる気概あふれる人は防衛階級として武人となり、節制をうまく働かせることができる欲望的な人は生産階級、つまり庶民となって、それぞれが最善を尽くして調和のある国家をつくりあげようとすることで、その国家は正義の国となるのだ、とプラトンは言います。

哲人政治

統治階級となるのは哲人であり、哲人が指導者なので哲人は理性を働かせて真実を求め続ける努力をしないといけないとプラトンは考えました。そして現在の統治階級が哲学をするか、哲人が統治階級にならなければならないとプラトンは言います。これを哲人政治と呼びます。

以上、古代ギリシアの理想主義者・プラトンの項目を今回はお届けしました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋聡記す

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