人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

家族的類似性(Familienähnlichkeiten)

 
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ウィトゲンシュタイン 『哲学探究』§66 67(http://www.geocities.jp/mickindex/wittgenstein/witt_pu_jp.html) より
「ゲーム」という言葉について考えてみよう。ボードゲーム、カードゲーム、TVゲーム、ボールゲーム、これらすべてに共通するものなのあるだろうか?いやないのだ。
 「娯楽」という点では共通しているではないか?チェスと七並べを比べて、七並べが娯楽と言えようか?
 すべてのゲームには勝敗や競争があるのではないか?トランプの一人遊びゲームは勝敗を決するものだろうか?あるいはTVゲームのすべてが勝敗を決するものだと言えるだろうか?
ウィトゲンシュタインは言う「そしてこのようにして私たちは、膨大な数のゲームのグループを通って行くことができる。色々な類似性が現れては消えていくのを見ながら。
 こうした考察から得られる結果はこうである。私たちが見ているのは、多くの類似性 ―― 大きなものから小さなものまで ―― が互いに重なり合い、交差してできあがった複雑な網状組織なのである。」
 「私は、この類似性を特徴付けるのに『家族的類似性(Familienähnlichkeiten)』という言葉以上に適切なものを知らない」
 個々の「ゲーム」を見比べるとある程度範囲は重なり合うが、すべての「ゲーム」に共通しているものなど何もないのだ。こういった特徴を「家族的類似性」と呼ぶ。辞書的に、一義的に定義できない言葉の特徴がそれである(いやむしろすべての単語は家族的類似性を持っていると言った方が良いのか)。ウィトゲンシュタインが例にあげる「数」以外にも「宗教」「貨幣」「国家」「経済」等の言葉が特に当てはまる、と考えられる。

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