人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

デュルケームの人と業績⑤『自殺論』Ⅱ

 
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<自殺の混合タイプ>
 ④自己本位的・アノミー的自殺…よく見られる。失望が興奮と、夢想が行動と、欲望の狂奔が憂鬱な瞑想と交互にかわるがわる現れる。
 ⑤アノミー的・集団本位的自殺…同じ一つの危機が人々の生活を混乱に陥れるとともに彼らの集団本位的傾向を刺激することによって引き起こされる。
(例:エルサレム陥落の際に一段となって自殺を遂げたユダヤ人の場合)
 ⑥自己・集団本位的自殺…現実世界では個人主義、理想的な対象に関する限り集団本位主義者の遂げる自殺。
(例:ストア主義者の自殺)
 ●自殺はどの社会でも見出されるという意味で「正常的」な現象といえる。だが、社会の構造が変わらないのに自殺率・犯罪率が急増加するのは「病理的」な現象である。この「病理的」状態を改善して正常的状態に戻すことがデュルケムの意図したところでもある。
 その対処法は?
A 罰則→自殺の潮流は変えきれない
B 教育→教育は社会の反映にすぎないのであまり期待できない
C より強力な連帯性を作り出す→根源に遡っているので効果は期待できる。ただ、政治集団や家族集団ではなく、職能集団の再建と強化およびギルドの有した諸弊害近代化・公的機関化こそ必要であると説いた
<自殺論に対する批判>
・社会的要因を強調するあまり、個人的・心理的要因を閉却している。自殺に個人的要因が絡むのは否定しがたい。
・模倣により自殺が広まるとは言いがたいのは確かだが、模倣が同じ社会に属する人々に悪影響、一種の伝染的作用を及ぼすことんは認められるのではないか。
・貧困が自殺に対する一種の免疫となるという考え方には賛同しがたい
・同業組合、職業集団の再建や強化について、具体的な問題(労使・紛争)を考慮に入れながら入念に議論をすべきだったのでは。

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