『死にいたる病』12 1-C-B(1-3-B)
B 意識という規定のもとにみられた絶望
「意識の度が上昇すると、あるいは、意識が上昇するに比例して、絶望の強度も絶えず上昇する。意識が増せば増すほど、それほど絶望の度も強くなるのである。」
ここでいう意識とは、自己意識のことでもある。自己意識が全くない状態での絶望は「一種の無邪気さで」あり、自己意識が強い絶望は、「悪魔の絶望」であり、「絶対的な反抗」であるという。
深い意識をもつものは、深く絶望し、深く絶望する者は深い意識を持つ。逆に(自己)意識を持たないものは、表面的には絶望しないでいて、気分だけに流されるのである。
キルケゴールは、ここで意識の深化に従って絶望の状態を記述・分類している。絶えず自己意識について着眼されていることを頭に留めて先へ進めることにしよう。