精読『近代文化における貨幣』26・27 相反する二つの潮流
26・27 近代文化は一見すると相反する二つの潮流を示した。平均化・均一化が行われより包括的な社会圏を生み出す方向と、個我の確立が行われ個我形成の自立を目指す方向である。この二つの方向は貨幣経済によって支えられた。というのは、貨幣経済が《普遍的な利害と結合手段と了解手段を提供》すると同時に、《おのおのの人格に、より大きな外界からの距離と個人志向と自由を与えた》からである。
ここでは前回までに述べられたことが簡潔にまとめられています。近代において、主客の分離が進展しますが、それは貨幣経済によって支えられるためです。普遍的なものがより普遍的なものへとなり、それと同時に個人の自由が増大し、自我はより深い自我を持つようになります。この一種の逆説がジンメルの考えを考える上で大切です。次回は主体の確立の例証を見ることができます。
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