人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

仏教において学ぶべき三つのもの

2017/08/11
 
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どうも、哲学エヴァンジェリスト高橋聡です。前回は三宝について学びました。三宝は仏教を構成する最低限の要素で、日本においても聖徳太子の時代から大事にされてきましたね。

今回は同じように3つの学ぶべきものについて見ていきましょう。

三学

仏教で三つの学ぶべきものというと、三学と呼ばれるものです。三学とは、戒・定・慧のことをさします。

ところで仏教で学ぶべきというと、単純に頭で理解するだけで終わりではありません。東洋系の思想ではだいたい同じように言えますが、頭で理解するだけでなく、自分が体験してみて体をもって理解しないと学んだことにならないのです。このことに注意して、三学とはどんなものか見ていきましょう。

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戒とは直接的にはいましめ、という意味です。仏教者が守るべきルール、規律のことをさします。守ることによって精神が鍛錬されるとも言われます。いわば、この戒を守ること自体が修行となるわけです。この戒を破ることで、破戒の悪僧となることができます!

さまざまな数の戒律があったと言われますが、すべての戒律は次に五戒と呼ばれるものに要約されます。

  1. 生き物を殺してはならない
  2. 盗みをしてはならない
  3. 淫らなことをしてはならない
  4. 嘘をついてはならない
  5. 酒を飲んではならない

この五つから派生したルールを守ること、それが修行につながる、とは言いますが、こうした外面的にルールを何個も作ってそれを守れっていうことは本当に良い修行につながるでしょうか?結局のところ、守ること自体が大事なのではなく、あなたの内面で戒を守ろうとしようとする心が大切なのです

日本の仏教はそこまで戒を重視しません。形式的な戒よりも、結局内面の心が大事だということに気づいたからでしょうが、それゆえに批判されることもあります。どこに重点を置くかで戒の位置づけも変わってくるのです。とはいえ、一般的にいえば戒を守ることは仏教で最も大事な学ぶ行為なのです。

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定とは、「じょう」と読みます。簡単にいえば心の安定のことで、禅定、つまり瞑想による精神統一の修行をさします。

なぜこれが大事にされるのか。お釈迦様もまた、苦行の後に菩提樹の下で禅定を行って悟りを開いたとされるからです。禅定とは、人間の精神を集中して心の奥に潜む能力を引き出すものなのです。心が法と一致した状態が涅槃と呼ばれる状態です。

仏教で特にこの定を重視したのが禅宗です。ダルマさんが開いたのです。中国で禅宗が発展したのち、日本にも禅宗が伝えられるようになりました。結局、禅宗とはこの定を大事にする宗派ですが、お釈迦様が菩提樹のもとで禅定をして悟りを開いたことに着目して、お釈迦様の体験に戻るようにせよという一種の原理復古運動なのです。

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慧とは、智慧の慧のことで、「え」と読みます。智慧とは真理、法を認識することです。この慧は、定による精神統一ののちに現れるものです。

では、仏教における智慧とはなんでしょう。サンスクリット語の読みを音写した般若というのが、智慧の正式な名前です。般若心経の般若ですね。この般若の智慧とは結局、無分別智と呼ばれるものです。無分別智とは、物事の分別を行わずに、全体的な真理をみようとすることです。この全体的な真理が見えるようになってはじめて、悟りを得ることができると言えるんです。

このことについてはぼくの昔のブログに載っているので是非みてくださいね。

三学のまとめ

三学とは、戒定慧のことでした。仏教では通常この通りの順番に学びを体現し、悟りを得ることができると考えられています。だから、どれもとても重要で外すことができないものなんですね。

三学と三宝の関係を言うと次のように言えるでしょう。三宝とは仏法僧ですが、僧が法を悟って仏になるには、戒定慧の三つのものを体現しなければらない。

あなたも仏教について調べるとき、この三学についてもみてもらえればと思います。

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