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古代インド哲学の重要概念ー解脱について

2017/09/12
 
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どうも哲学エヴァンジェリスト高橋聡です。前回まではインド哲学を知ろうというシリーズをお届けしてきました。その中でも最重要の概念、解脱について解説していきたいと思います。

解脱

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解脱概論

解脱(げだつ)はサンスクリット語でMokṣa(モクーシャ)と言います。モクーシャの原義は「開放する」「放棄する」という意味で、全ての束縛から抜け出すことを指します。この解脱という概念は、古代インド哲学ではウパニシャッドを経てジャイナ教、仏教、ヨーガなどほぼすべてのインド哲学諸派で大事にされてきた概念になります。では早速ヴェーダの時代から見ていきましょう。

古期ウパニシャッドの解脱

古期ウパニシャッドでは、繰り返す死という概念が出てきました。人は死んだ後、再びこの世に生まれて現在とは身分の違った、幸せか不幸せな人間として生きることになる、あるいは獣類として生存することになるかもしれないという信仰がこれです。現在のところ輪廻転生の名で呼ばれるこの信仰は、ウパニシャッドの時代に生まれました

この死への恐れを克服しようと生まれたのが解脱です。「無知」が死の支配からの解脱を妨げるものと考えられ、この無知からの解脱を人々は求めました。自己が万有の本性と同一である(梵我一如)を知ることは、解脱へと導くのです。これに対して、無知の者は、輪廻に止まる運命にあります。解脱に導く知識は、経験的知識や学問上の知識、散漫な知性で得られた知識など、知性に基づいた知では得られないと考えられました。

簡単に言うと、解脱とは、繰り返す死への信仰つまり輪廻から解放されることを指します。ただし、知性による知識を得るだけで解脱は達成できず、精神統一や苦行などを行うことによってはじめて解脱は達成できると考えられました。

ジャイナ教の解脱

ジャイナ教の解脱は、魂に業が流入するのを阻止することで始まります魂にすでに形成された業も除去しないといけないとされました。解脱の達成には、厳しいヨーガが役立ちます。苦行、タパスというものを推奨こそしますが、バラモン教の苦行者に比べれば倫理的な価値を優先していると言えます。ヨーガは正智、正見、正行からなります正智とは真理についての知識を得ること、正見とは正しい教えを信じること、正行とは一切の悪行から離れることを指します。正行は慈愛からなります。慈愛とは、一切の生物をひどく扱わないで、愛することです。慈愛が修行の中心点だといっても過言ではありません。激しい苦行と精神集中が解脱に導くとジャイナ教では考えられました。

初期仏教の解脱

初期仏教の解脱は輪廻から脱出した状態のことを指します。この状態を涅槃といいます。解脱は中道(この世への執着という極端と苦行という極端を両方さけた方法)を歩むことで達成できます。人は四聖諦、八正道を守ることで解脱に導かれると考えられました。特に重要とされたのが、精神集中、つまり禅定です。禅定で悟りを開くことで、解脱への道が開かれたのです。

大乗仏教の解脱

大乗仏教の般若経典で説かれる空の理論から、煩悩即菩提、輪廻即涅槃と考えられました。まず人は自分が菩薩となることを目指すことが解脱への道だとされました。菩薩とは仏陀の前段階ですべての生きとし生けるものを救うために輪廻の世界にとどまっている人のことです。大乗仏教では、小乗戒を用いる派は少ないです。それぞれの宗派のやり方で人は解脱を目指しました。

バガヴァッド・ギーターの解脱

バガヴァッド・ギーターによれば、解脱はやはり輪廻からの脱出です。その上で、解脱の道は多数あると説きます。一つはカルマ・ヨーガという方法。カルマ・ヨーガとは私欲や利己心なく自己の本来の義務に遵い、体系的訓練に基づく錬成の道です。それぞれの神を信仰し、崇拝することも最高神を祀ることと繋がり、解脱に導かれると考えられました。もう一つがジュニァーナ・マールガと呼ばれる知識道のこと。解脱に導く知識や智慧を手に入れて解脱する方法です。そして最後は「献身」(バクティ)の道最高神に対する献身と、崇敬をうけていた心の教師への献身があり、それぞれが解脱に導くと考えられたのです。

古典サーンキヤ派の解脱

古典サーンキヤによれば、解脱は実在との合一を実現することでもなく、涅槃における消尽でもありません。涅槃は霊我と物質とが根本的に異なっていることを洞察することに存していると考えられました。解脱とは、霊我が物質から解放された状態、独存の原状に帰ることです。

古典ヨーガの解脱

パンジァリが確立した古典ヨーガでは、瞑想がことのほか解脱に大事だと考えられました。また形而上学も解脱にやはり大事だと言います。五煩悩の最も根本的な「無知」が業を形成するといいます。ヨーガの目標は五煩悩を滅ぼし尽くし、無秩序な心の状態を止滅の状態に導くことです。この止滅の状態が解脱です。やはり古典ヨーガでも解脱は独存を目指すものと考えらました

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