注意せよ–ニーチェ『愉しい学問』<序曲>への注釈5
2018/06/13
どうも、哲学エバンジェリスト高橋 聡です。今日もニーチェの『愉しい学問』(別訳『悦ばしき知識』)の<序曲>への注釈を記したいと思います。なお、引用はすべて講談社学術文庫版『愉しい学問』森一郎訳からです。では早速見ていきましょう!
37番 気をつけろ
あの辺りは、旅するのも今どきは楽じゃない。
君に才能(ガイスト)があれば、用心も二倍要るほどだ。
君を誘い、君に惚れ、あげくは君を引き裂く連中がいる。
熱狂的心酔者(ガイスター)のことだ−−。奴らには、知能(ガイスト)というものがない。
熱狂的心酔者に注意せよ
気をつける必要がある。ニーチェはこう言う。何に対してであろうか?熱狂的心酔者、知能のない奴らに注意せよと。
奴らは君を誘い、君に惚れ、心酔する。その時は最も強力な味方のような振る舞いをするのだ。だが、奴らは君が自分の思い通りにならないことを汁と、君を裏切り、君を引き裂く。あげくにはさかうらみする。君に心酔する者こそ、君がもっとも気をつけるべき人物だ。
ストーカーのことを考えてみよう。彼は君に近づく。君を誘う。そして君に惚れる。だが、最後には君を裏切り、君に期待を裏切られたと思い込み、さかうらみをする。君の心酔者には注意せよ。