哲学者のことを知ろう。何を言っているのか、概要から入りましょう
どうも、哲学エバンジェリスト高橋 聡です。寒くなってきましたね。でも心は常に熱くなるように保ちましょう。
さて、今日もまた短めの書評をお送りします。富増章成著『超訳哲学者図鑑』(以下、『哲学者図鑑』)のご紹介です。さっそく入っていきましょう。
『哲学者図鑑』を読む前の思いこみ
哲学者、哲学史についてある程度ですが、理解していると思っていました。哲学説の要点を絞って解説している書物も何冊も読んでいます。ただ、これって実は”思い込み”だったんですね。本っていうのは読めば読むほど理解が深まるもので、自分が理解していると思い込むのは本当は間違いなんです。『哲学者図鑑』の内容
”哲学者60人の思想がざっと学べる”と帯に書いています。練習問題が付いているのも特徴です。想定読者は「哲学に興味を持ち始めた人」。ぼくが最も感銘を受けた箇所は「ソクラテス」の項目です。ソクラテスの問答法の説明がとてもわかりやすかったのです。問答法とは相手のおかしな箇所を指摘して、「なぜそう思うのか?」を延々と問い続ける対話の手法です。ソクラテスはこの問答法を得意としていました。この問答法は、富増さんの言葉を借りると”人間の「思い込み」を打ち砕く”方法なのです。ぼくたちはいろんな常識にとらわれています。働いてる業界のルールや慣習、価値観に左右されていきています。このような常識や価値観、善悪の基準などはすべて「思い込み」にすぎないのです。この「思い込み」の厄介な点は、その思い込みをしている人にとって、無自覚的に思い込みが正しいという点です。
ところが、思い込みを思い込みだとソクラテスの問答法により指摘されて気づいた瞬間、思い込みは一つの解釈にすぎないことに当人は気がつきます。思い込みが絶対の価値だと思っていた自分がいかに無知だったかを自覚するわけです。そういう点で、無知の知とは、思い込みが無知であることを知ることができる、という意味に取ることも可能です。
全体的に内容は大変わかりやすく書かれています。自分が知っていると思っていた哲学者も、また別の視点から書かれたりしていて大変興味深かったです。
『哲学者図鑑』を読んで変化した点
幸福こそが人間の最終目標だ、といったのはかのアリストテレス。たとえばぼくは仕事先への通勤は車です。この時間を、ただの移動のための無駄な時間と捉えるか、それとも何か音楽を聞く時間とするか、はたまた音声コンテンツなどを流して勉強の時間とするかは自分次第だと改めて思いました。キケロによれば、死が近いのは悪いことではなく、良いことなのです。よって恐れる必要はありません。ただ、人生が満ち足りたものとなっているかどうかだけが大事なのです。こうしたことを考えていくと、その今を生きる瞬間瞬間を大事に生きることを優先しよう、ということに気がつきました。
『哲学者図鑑』を読んだあと行動する点
- この本で気になった哲学者の原書を読む
まとめ
思い込み、無知のままでおいていてはいけません。無知を自覚して、貪欲に知を求め、いきている今という一瞬を大切にして過ごすことに気づきました。今後、気になった哲学者の原書にもチャレンジします。『哲学者図鑑』を読めば、必ずや自分の好きな哲学者、あるいは気になることを言っている哲学者が見つかると思います。初学者の方ははもちろん、ある程度学んだことのある人も是非手に取ってみましょう。