人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

近代哲学の巨人 カント3

2021/05/13
 
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どうもこんばんは、たかはしさとしです。今日は在宅勤務でした。在宅で仕事もいいですね。通勤時間を使わずに仕事に入れるから、満員電車で疲弊することはありませんからね。大阪はコロナが流行中とはいえ、大阪メトロ御堂筋線などは乗る人がいっぱいいます。あれが少しは落ち着かないとコロナの陽性者数も落ち着かないんじゃないかな、と思う今日この頃です。

それはさておき本日の話題に入ってまいりましょう。本日は前回からの続きでカントの話題です。カントはまず理解しないといけない用語が多いから、用語の解説からはいって、最後にカントの哲学についてまとめる感じで執筆しようと思っています。カントに関する前回の記事はこちら。



まだ読んでいない方はぜひ読んでくださいね。


本日の用語

今回もカントの重要な用語である良心の声、義務、道徳法則、定言命法、仮言命法、格率、自律、自由といった概念について考えていきます。道徳との関連が強い用語ですね。


良心の声

カントによれば、良心の声とは人間の心の内で道徳的な義務に従うように促す理性の声のことです。傾向性という弱い方に流れる性質を持った人間は、「~すべきである」という義務の形をとった良心の声により行動を変えることがあります。


義務

カントのいう義務とは、道徳法則への尊敬だけを動機として、その命令に従うことです。義務に基づく行為のみ道徳的な価値をカントは認めています。快楽への傾向性(弱きへ流れる人間の性質)をもつ人間に対して、理性は義務の形で道徳法則を命ずるとカントは言う。


道徳法則

道徳法則とは、理性によってたてられた普遍的な道徳の法則のことをいいます。道徳律ともいいます。カントは道徳法則が可能になるには、人格の自由な行為が存在しないといけないと考えました。そしてカントは自由な人格の世界として英知界(物自体の世界)を説きました。自然の因果律に支配された現象界では、人間は傾向性に流されてしまう存在なのですが、英知界の存在として自由な行為をとることができます。これがカントの言う実践的な自由です。


定言命法と仮言命法

定言命法無条件に「~すべし」と命じる命令のことです。いつどこでも人間に普遍的に妥当するものであるとカントは考えました。定言命法はカントの道徳法則の真の形式です。


name="92KPS">対して仮言命法とは、条件付きの命令のことです。カントからすれば、条件付きの命令は絶対的な善を命じる道徳法則にはなりえないといいます。

格率

格率とは自分だけに当てはまる主観的な行動の原則をさします。対義語はあらゆるものに普遍的で客観的な道徳法則です。


自律

カントにおける自律とは、理性がたてた道徳法則に自らが主体的に従うことです。道徳法則はあくまでも自律のためにあり、神の命令に従うなどという他律とは全く異なった原理に立脚しています。道徳法則に自発的に従うところに意志の自律を認めて、そこに人格の尊厳を見出すことができる、とカントは述べています。


自由

カントにおける自由は、自らがたてた道徳法則に自発的に従う実践的な自由をさします。また自由とは、原因を作り出す能力であるともいえます。人間は感性的存在として因果法則に支配された自然界に属している一方、道徳的人格として。自由な英知界に属している、二面的な性格をもった存在なのだ、とカントはいいます。これは簡単に人間にあてはめていうとこういうことです。

人間は感性的存在として快楽などの傾向性に流される存在です。もし人間が英知界に属していなければ、人間は感情のおもむくままに快楽を追い求めて行動することしかできないでしょう。でもカントはそうではない、というんです。人間は自由、つまり原因を作り出す能力をもつ英知界に属しているから、因果法則の第一原因となって、道徳法則に自律的かつ自発的に従うことで、自然の因果法則とは違った結果を生み出すことができる。


人格

カントの言う人格とは、自律的に行為する自由な道徳的主体のことをさします。カントは人格にこそ人間の尊厳を見出すことができるという人格主義の立場をとりました。


name="qzdA7">さて今日の用語はここまでにしましょう。カントの用語は難しい概念もなくはないですが、基本を押さえれば唐突なことは何一つ言っていないんですね。そのことを理解して、カントの哲学について理解を深めてまいりましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

初冬のすこしさむいよるにたかはしさとししるす



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